(ニューヨーク)-ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ビルマ軍事政権が、ビルマを訪問するイブラヒム・ガンバリ国連特使との会合にて、平和裡になされているデモ参加者に対する攻撃を止め、今週の数百人の僧侶逮捕について責任者を処罰し、そして、独立した調査者たちに身柄拘禁施設の調査を認めることを約束せねばならない、と述べた。

「ビルマ軍事政権は、変革を求めて勇敢に街にくりだした数万の人々の熱望を愚弄した。」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは述べた。「しかし、国連安全保障理事会の派遣した特使に協力しない場合には、ビルマ政府は、これまでにないほどの国際的な孤立に陥るであろう。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ビルマ政府に対し、今回の一連の抗議行動の間になされたと報道されている多くの人権侵害についての情報をガンバリ特使に提供するよう強く求めた。提供すべき情報は、たとえは:

  • l 治安維持部隊に殺害された人の正確な数。政府は10人の死亡を認めているが、信頼できる情報源は、さらに多くの人が殺されたとしている。
  • l 逮捕された人の数、および、その人々の拘禁場所。これには、抗議運動の始まった8月に逮捕された88世代学生グループのメンバーや反軍政組織 国民民主連盟(NLD)のメンバー、および、その他の活動家たちの情報を含む。
  • l 9月27日(木)の朝に身柄拘束された数百人の僧侶の拘禁場所、および、その拘禁状況。

また、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ビルマ政府に対し、政府の新たな携帯電話とインターネット禁止措置を撤回するよう求めた。携帯電話とインターネットは、ラングーン他でおきている出来事についての正確な情報の伝達に不可欠だ。

ガンバリ特使および外交官たちには、拘禁されている反政府派のリーダーでありノーベル賞受賞者 アウンサンスーチー氏への接触が許可されねばならない。同氏が自宅軟禁下か、あるいは刑務所で拘禁されているのか未だ明確ではない。

ビルマ政府は、日本人ジャーナリスト長井健司氏の殺害についても独立した調査を許可すべきだ。映像によれば、長井氏は、木曜日、ビルマの治安維持部隊に、至近距離から撃たれたと見られる。

「ガンバリ特使は、身柄拘束を受けている全ての僧侶、および、活動家の即時釈放を公に求めるべきである。」とアダムズは述べた。「ガンバリ特使は、拘禁施設で虐待が行われることがないよう、独立した機関および外交官による全ての拘禁施設の訪問が認められるように、求めるべきである。さらに、ガンバリ特使は、アウンサンスーチー氏に会うことも認められるべきだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ガンバリ特使のこれまでの訪問及び発言が、ビルマ政府と国連間の対話ばかりに焦点を絞っていて、ビルマ政府がとるべき行動の指摘が不十分だった、と述べた。6月のインド訪問に際して、ガンバリ特使は、ビルマ政府の「前進を認め」る事が重要である、と述べた。しかし、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、近時の出来事が改めて示すとおり、ビルマ政府が、改革のために意味ある前進を一歩でも行ったと認めることは難しい、と述べた。

「ガンバリ氏は、今回は、明確な言葉で、要望をはっきりと述べ、そして、ビルマ政府の行為に対する世界中の憎悪と怒りを表明しなければならない。」とアダムズは述べた。「ガンバリ氏は、軍部に対し、不処罰の時代は終わった、もし、軍人たちが残虐的行為を続けるなら、いつか処罰される日が来ることになる、と話さなければならない。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、9月27日付けの東南アジア諸国連合(ASEAN)の強い声明(http://www.aseansec.org/20974.htm)を歓迎した。ASEAN議長として、シンガポールのジョージ・ヨー外相は、ASEAN各国外相が「[ビルマ]のニャン・ウィン外相に対し、抗議行動が暴力的な軍隊により弾圧され、多数の死者が出たことについて、嫌悪感を表明した。」と述べた。ヨー外相はまた、ビルマ政権に対し、「直ちに、デモを行う人々に対する暴力行為をやめよ」と求めた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、中国、ロシア、インド並びに日本に対し、ビルマにおける人権侵害について明確に発言すること、そして、ビルマ政府に対し、各国が持つ影響力を行使して、反政府陣営、非ビルマ民族グループ、市民社会との誠実な対話に応じるよう求めるべき、と述べた。中国、ロシア並びにインドは、国連人権理事会の緊急特別会合の開催を支持しなかった。この特別会合は、金曜日、日本を含む17の理事国の支持で開催が決まった。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、特別会合に対する日本の支持を歓迎するものの、日本が、ビルマの状況についてそれほど厳しくない懸念しか発表してきていないことを、残念に思う。

「ASEANが歯に衣を着せなかったにも拘わらず、中国、ロシア、インド並びに日本は、冷静な対応を求めるというだけより若干強い声明を出しているにすぎない。こうした国々の冷静さを求める声は、ビルマでの銃声や殴打、そして拘束にかき消された。」とアダムズは述べた。

中国、ロシア並びにインドは、近年、ビルマ政府の主要な貿易相手国であり、かつ、武器輸出国である。この1月、中国とロシアは、ビルマにおける人権問題を解決するための決議に対し、拒否権を発動した。日本は、ビルマの主要援助国である。