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北朝鮮:強制送還後の亡命者に対する厳罰

北朝鮮との国境で中国側に求められる国連難民高等弁務所との連携

(ソウル)- 本日発行されたヒューマン・ライツ・ウォチのレポートでは、北朝鮮から中国大陸へ亡命した国民への政治的取締り政策の強化について記載されている。実際に、現行犯で捕まった者が長期間刑務所に収容され、所内で暴力を受けている事例。さらに、北京で捕まった者が強制送還されている事例などが見られる。

ヒューマン・ライツ・ウォチからインタビューを受けた北朝鮮亡命者によると、「平壌(北朝鮮政府)は、国境を越えようとした者に対して最低5年の懲役刑を下すと公式に発表した。例え今回が初犯で、且つ国境を越えた理由が食料を求めたことであったとしても。」

「北朝鮮の人々は、飢餓から逃れるために国境を越えて中国へ亡命するのだ。なぜならば、政府は国民に充分な食糧を与えていない、或いは与える余裕がないからだ」とヒューマン・ライツ・ウォチ、アジア局長代理ソフィー・リチャードソンは説明している。さらに、「国民に食糧すら供給できない状況に置かれながらも、政府はただ生き延びようとする国民をさらに迫害しているのだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォチは、2006年7月中旬から12月上旬の間に北朝鮮から中国に渡った16名の北朝鮮人亡命者にインタビューを行った。16人ではヒューマン・ライツ・ウォチが北朝鮮の包括的な内情を把握するに不十分だと想定していた。しかし、インタビューに協力してくれた人々の年齢、性別、故郷、社会階級が多様化していたため、信用性の高い客観的な認識を得ることができた。重要なことは、全ての亡命者による「強制送還後の厳罰」に対する説明が一貫していたことである。

インタビューに協力してくれた北朝鮮人によると、2004年頃から、国境を越えようとした者に対して、例え初犯であっても1年から5年の刑務所の刑を下すと警告していた。

この正式発表は、2000年から国家政策に反映されている。なお、国境を越えて亡命した者について、宣教師や韓国人との接触がなかった場合はさほどの厳罰は科されていなかった。また、2000年から2004年に捕まった亡命者は、拷問後釈放されるか、あるいは最悪な場合でも再教育との名で労働施設に数ヶ月収容される程度であった。しかし、新しい政策は理由さえ問わず亡命を試みた者は皆刑務所に収容されている。

インタビューを受けた北朝鮮人によると、政策改定は、2004年夏ベトナムに滞在していた北朝鮮難民を韓国政府が国内に再定住させた直後だと述べている。北朝鮮は、韓国政府による行為が「誘拐」に該当すると主張し、北朝鮮難民の返却を強く要求した。韓国が北朝鮮の要望を拒否した結果、北朝鮮は韓国との対話を10ヶ月間打ち切った。インタビューに応じてくれた2名は、ベトナムの事件が政策を改定する要因になっていると述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチに対して、北朝鮮の亡命者が刑務所での悲惨な状況を伝えた。所内では様々な暴行を受けた。例えば、裸の状態で行われる身体検査、言葉による虐待及び脅迫、むち打ち、強制労働、不十分な医療及び食事。刑務所での食事は、「一食が一握りのトウモロコシの粉」だといわれている。反抗したものは、意識を失うまで強制的に自身の頭を棒にぶつけさせられた。以上のような暴行が継続し、罰は連帯責任として刑務所全員に科された。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国境を越えようとした人々を拘束しないよう北朝鮮政府に要求した。更に、市民に対して国内外への自由な移動を認めるよう議論した。北朝鮮は「市民的および政治的権利に関する国際規約」のメンバーであり、本規定の行動規範を遵守する義務がある。なお、本規定は全ての人々が自由に(自国を含む)国家間を移動する権利を持つと定めている。よって、政府は本権利が守るべきであり、国境を越えたものを罰することは認められない。

「北朝鮮は、犯罪目的ではなく単に許可なく国境を越えた人々を罰するべきではない」とリチャードソンは述べている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、北朝鮮からの亡命者を不法出稼ぎ労働者として区別し、彼らを強制的に帰還させるべきではないと中国政府に訴えている。中国政府は国連難民高等弁務所から許可を得た上で、国境で亡命者の身分確認を行いながら難民認定にふるいをかけるべきであると述べている。

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