防衛省は9月20日に、2023年度以降ミャンマー国軍から士官及び士官候補生の受け入れを停止すると発表しました。同省は、国軍が7月下旬に4人の民主派活動家の死刑を執行したことを判断の理由としました。
防衛省の青木健至報道官は「ミャンマーとの防衛協力・交流を現状のまま継続することは適切でない」と説明。一方で、すでに防衛大学校や自衛隊施設などで軍事訓練を受けている2名の士官と9名の士官候補生は、訓練を終えるまで在籍するとしました。
日本政府は2015年以降、外国籍の軍人の教育や訓練を認める自衛隊法第100条の2の規定に基づき、ミャンマー国軍の士官候補生及び士官を受け入れてきました。訓練は防衛大臣の承認の上、防衛省管轄の防衛大学校や自衛隊施設で実施されています。防衛省は2021年のクーデター後、2名の士官候補生と2名の士官を受け入れ、2022年には、再度2名の士官候補生と2名の士官を受け入れました。
今年5月にヒューマン・ライツ・ウォッチとジャスティス・フォー・ミャンマーは、2016年8月から2017年3月の間に日本の航空自衛隊幹部学校で訓練を受けたミャンマー空軍中佐のラン・モウ氏が、ミャンマー中部マグウェイ地方の基地に所属していたことを明らかにしました。同基地は、マグウェイ地方での無差別空爆の可能性がある攻撃も含む深刻な人権侵害に関与したとされています。また、今年8月にヒューマン・ライツ・ウォッチは、2016年8月から2017年3月の間に陸上自衛隊幹部学校で訓練を受けたミャンマー陸軍准将のティン・ソウ氏が、2021年8月から2022年7月までシャン州南部やカレンニー州(カヤ州)での軍事活動を管轄する東部陸軍司令部(Eastern Command)にいたことを明らかにしました。同司令部が管轄する部隊は、市民の虐殺などに関与しました。
より迅速な対応が望ましかったものの、今回の防衛省の判断は、日本政府が国軍の人権侵害に加担するリスクを下げるために重要です。これを機会に、他の民主主義国と連携し、国軍に対してより強い行動をとる必要があります。例えば、国連安全保障理事会でイギリス政府が率いる決議案を公な形で支持するべきです。同決議案は、ミャンマーに対して軍事訓練を含む武器禁輸措置や標的制裁を呼び掛けています。