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東京新聞・中日新聞 2020年6月19日

「ブラック・ライブズ・マター」(黒人の命も大切だ)と、人種差別に抗議するデモが米国から世界に広がり、日本でも行われた。日本も批准する人種差別撤廃条約で、人種差別とは人種だけでなく皮膚の色や民族による差別も含むとされる。

日本でも在日コリアンなど、差別や偏見にさらされてきた人々がいる。二〇一七年公表の法務省調査では、外国人であることを理由に就職を断られた人が25%、入居を断られた人が約四割いた。差別を受けてどこかに相談した人は約11%。被害者が泣き寝入りしている実態が浮かび上がる。

新型コロナウイルス拡大前、日本は慢性的な人手不足にあり、政府は新たな在留資格を創設した。感染が収束すれば、外国人を積極的に迎える状況に戻るだろう。人種、民族、宗教、国籍が異なる多くの人たちと一緒に生きる社会に向けて、日本は準備ができていないと言わざるを得ない。

私は長年、多くの先進国と同様に日本も「人種差別禁止法」を制定する必要があると考えてきた。政府がルールを示す効果は、男女雇用機会均等法が成立して数十年で、採用や解雇、セクハラなどの分野で社会が大きく変わったことを考えればわかりやすい。真の男女平等には遠いとはいえ、もし法律もなかったらと考えると、空恐ろしい。

今こそ、人種差別禁止法の議論を始めるときだ。

(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

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