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東京新聞・中日新聞 2020年5月1日

世界中の政府には人権を守る義務があるが、新型コロナウイルス対策では良い対応も悪い対応もある。ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は世界中の政府に向けて、人権を尊重した新型コロナ対策のための四十のチェック項目をまとめ、各国の対応例も紹介した(HRWのホームページ参照。四月十四日掲載)。一部を紹介したい。

四十項目は①予防とケア②人権に配慮した危機管理③「ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)」による損害への対応に分かれる。

①は、非正規滞在外国人が摘発を恐れずに治療を受けられるか、「三密」が避けられない刑務所などの収容人数を削減したか―など。②は、濃厚接触者の追跡などに使われる監視技術が人権保護の最低条件を満たすか、住居の喪失を防ぐ対策を講じたか―など。③は、休校に伴いすべての子どもが自宅学習できる対策をとったか、家庭内暴力の被害者支援に資源を投入しているか―などだ。

アルゼンチンやオーストラリアは住居からの立ち退きを止める措置を発表し、フランスはドメスティックバイオレンス(DV)被害者に二万泊分の無料宿泊を提供。完ぺきではないが、各国で公衆衛生を守り人権を尊重する対応がとられている。日本もすべての項目を満たしてほしい。人権を尊重した新型コロナ対策は、感染抑制後の社会の立ち直りにも資するはずだ。

(HRW日本代表)

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