(東京) ―日本政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大リスクが刑務所など収容施設できわめて高いことを踏まえ、日本国内の刑務所 、留置場その他の 収容施設の人数の大幅削減するべきと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは4月23日付の森まさこ法務大臣宛の書簡で要請した。受刑者などの被拘禁者、刑務官などを守るために刑務所に拘禁するのではなく、刑事訴訟法482条に基づき刑を執行停止するなど、いわゆる代替刑を活用すべきだと述べた。
日本国内の刑務所や拘置所を含む収容所は現在、新型コロナウイルスに感染した受刑者などの被拘禁者や職員を適切に特定、検査、治療し、隔離する十分なリソースを有しているとはいえない。日本では、複数の被拘禁者が居室を共にする場合も多く、深刻な感染リスクが存在している。
「収容施設などでは人々が密集しておりソーシャル・ディスタンスを取るのが困難なため、新型コロナウイルスの感染拡大のリスクが高い」とヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表の土井香苗は述べた。「日本の刑務所などで新型コロナウイルスの感染拡大が発生した場合、高齢の受刑者が多い上、矯正医官や看護師の人員が少ないため致命的な事態になる可能性がある。」
日本政府は、万引きや薬物使用など非暴力的な犯罪で拘禁されている人々や、感染した場合に健康被害のリスクが高い高齢者や持病を有する人、あるいは妊娠中の女性などを数多く釈放すべきだ、と同書簡でヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。
「拘禁施設に収容されることが、新型コロナウイルスの結果、事実上の死刑判決となる事態は避けるべきだ」と前出の土井代表は述べた。