(ジュネーブ) ― 2017年3月24日、国連人権理事会ビルマの違反行為を強く非難する決議を採択し、かつ意義のある勧告を出した。今後の人権侵害を防止し、被害者に法の裁きをもたらすための重要な一歩を踏み出した、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは評価した。

Yanghee Lee, special rapporteur on the situation of human rights in Myanmar, at the UN Human Rights Council in Geneva on March 13, 2017.

© 2017 Reuters

同決議は理事会議長に対し、独立した国際事実調査団をビルマに速やかに派遣する権限を与えるもの。調査団は、特にラカイン州のロヒンギャ・ムスリムに対する近時の人権侵害疑惑をめぐり、「徹底した加害者の説明責任の追及と被害者のための法の裁きの実現」を保障するために、事実・状況を明らかにしていくことになる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュネーブ代表ジョン・フィッシャーは、「人権理事会の国際事実調査団派遣は、ビルマにおける重大な人権侵害の疑いが専門家によって徹底的に調査され、その結果、責任を負う個人の罪が確実に問われることを保障するために不可欠だ」と指摘する。「ビルマ政府は、関連するすべての地域への自由なアクセスをはじめとし、同調査団に全面的な協力をすべきである。」

事実調査団は、北部ラカイン州のロヒンギャに対する「掃討作戦」中に、ビルマ治安部隊が関与したとされている恣意的拘禁、拷問、レイプほかの性暴力、および財産の破壊を調査することになる。「掃討作戦」は、ロヒンギャの武装組織が2016年10月9日に国境警察の地区支部数カ所を襲撃し、9人の警察官が殺害されたと報じられている事件を受けて展開された。調査団には法医学ならびに性暴力・ジェンダー暴力の専門家も含まれる予定だ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれまで他の団体と協力し、ラカイン州でビルマ軍および警察がロヒンギャに対して行ってきた広範かつ重大な人権侵害について調査・検証してきた。具体的には、超法規的殺人、組織的なレイプ、多数のロヒンギャ村落焼き討ちなどが挙げられる。国連は、昨年10月〜12月に1,000人超が取締りに関連して死亡したと推定している。

また同決議は、ビルマ政府が引き続き、ロヒンギャをはじめとする少数民族や宗教的少数派に対する体系的かつ制度化された差別の撤廃に取り組むべきであり、差別的な法律や政策を全面的に改正または廃止し、かつ国内避難民および難民全員が安全に帰還するための措置を講じるべきだと明言している。約12万人のロヒンギャが、2012年に起きた暴力的衝突の結果として今もラカイン州で避難を余儀なくされている。うち約10万人は州都シットウェー近郊にある、季節的な洪水の起きやすい水田内に多く設置された収容所で、自由な出入りも許されないまま不衛生な状態下に暮らしている。昨年10月の事件以来、ビルマではさらに2万5,000人が国内避難民となり、7万4,000人超が隣国バングラデシュに脱出した。

同決議は加えて、ビルマにおけるその他の重要な人権問題も網羅している。ジャーナリストや政治家、学生、ソーシャルメディア・ユーザーの表現の自由を侵害する刑事名誉毀損法の適用、平和的集会に対する規制、および政府と非政府組織双方による子ども兵の継続的な動員などだ。人権理事会はまた、憲法の専門家で与党国民民主連盟顧問だったコーニー氏、環境活動家の ノーチットパンダイン氏、ジャーナリストのソーモートゥン氏の殺人事件にも言及した。 そのうえでビルマに対し、表現・集会・結社の自由を制限するすべての法律を改正して、残りの政治囚全員も釈放し、近時に起きた一連の殺人事件をめぐる徹底的かつ公平かつ独立した捜査を保障するよう強く求めた。

ジュネーブ代表のフィッシャーは、「ラカイン州で起こっている人権侵害により、ビルマが権利尊重や民主主義の未来のために困難を乗り越えて勝ち取ってきた前進が、後退してしまう恐れがある」と指摘する。「ビルマ政府は今後、この重大な人権問題の解決に向けて、人権理事会の今回の決議をフルに活用していくべきだ。」