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ネパール:内戦中のレイプ事件は処罰されぬまま

被害者のための賠償と法の裁きを実現する制度の構築を

(カトマンズ)-政府軍と毛沢東主義派戦闘員の双方が、ネパールで約10年続いた内戦中に女性や少女をレイプおよび性的嫌がらせの標的にしていたと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書内で述べた。

報告書「声を奪われ、忘れられ:ネパール内戦時代に性暴力を受けた被害者たち」(全78ページ)は、政府軍とネパール共産党(毛沢東主義派)戦闘員の双方が、内戦中に犯した性暴力を調査・検証したもの。内戦は2006年に包括的和平合意により終結した。これら犯罪は、被害者たちが孤立して法の裁きや救済へのアクセスを絶たれていることから、多くが明らかになっていない。しかるにネパール政府は、被害者女性による犯罪の告発と法の裁きの模索を支援する措置を速やかにとり、賠償計画を策定すべきだ。計画は長期的な医療・生計支援など、性暴力・拷問の被害者の重要なニーズを満たす内容でなければならない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの南アジアディレクター ミクナシ・ガングリーは、「あれからすでに10年以上が経過したというのに、事件の加害者は外を自由に闊歩し、被害者女性は沈黙したまま恐怖におののいている」と指摘する。「性暴力に苦しんだ女性のための法の裁きおよび賠償の実現は、あまりに長く待たれた内戦の遺物といえる。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチはネパールのNGO「アドボカシー・フォーラム」の協力を得て、50人超の女性に聞き取り調査を実施。1996年~2006年まで続いた内戦中に起きた性暴力の実態を調査し、取りまとめた。

女性たちは当時の緊迫した状況について証言。内戦中、民間人は食糧や宿泊などの支援を強要した毛沢東主義派と、こうした協力を罰した政府軍との板ばさみとなっていた。一部の証言者は、政府治安部隊が女性戦闘員を逮捕した後にレイプする様や、毛沢東主義派の女性支援者および支援者の女性親族を標的にする様を詳述した。毛沢東主義派の戦闘員が、協力を拒んだ女性や反乱活動のために強制徴用した女性をレイプした様について証言した女性たちもいる。一部は性暴力を受けたとき、まだ18歳未満の少女だった。

本報告書では、性暴力をめぐる甚大な社会的不名誉と報復への恐怖があいまって、女性が内戦中の犯罪をめぐる告発を躊躇したことが明らかになっている。この状況はいまだ多くにとって変わらず、被害者女性に心理・社会的および医療の支援が必要であることは明らかだ。

「どれほど無力に感じたか、説明するのが難しいくらいです」とある女性はレイプついて語る。「いくら泣き叫んで、助けを求めてもだめでした。あの男たちがしたことは、何から何まで私の意志に反するものでした。」

聞き取り調査に応じた被害者たちは孤立した村落に住んでおり、多くの場合、保健ほか公共サービスへの十分なアクセスはおろか、政府機関の存在すらない。内戦は終結したが被害者の多くはいまだ大きな不安を抱えており、こうした恐れが身の上に起きたことを告発して、救済を受ける道をはばんでいる。内戦中のレイプが原因で、家庭内暴力に苦しむ女性も多い。

政府および諸政党が内戦の多くの被害者に法の裁きとアカウンタビリティ(原因究明・責任追及)の実現を公約してきたが、性暴力の被害者のための対策は何ら練られていない。政府は内戦の遺族、および強制失踪者の家族に向けた暫定的補償計画に、性暴力の被害者を含まなかった。

政府による「真実と和解委員会法」ははっきりと、性暴力の加害者は恩赦の対象にならないと定めている。が、関係当局はいまだ加害者に対する実質的な捜査・訴追、または被害者のための効果的な賠償を確保していない。

前出のガングリー南アジアディレクターは、「もし政府が内戦中の性暴力とその後の後遺症に真剣に対処しようとするのなら、政府の補償計画に性暴力の被害者も含む必要がある」と指摘する。「暫定的補償への完全なる沈黙は、不処罰文化の風潮とあいまって、これら被害者を更なる透明人間にしてしまう。」

加えて、ネパールにおける性暴力の出訴期限は35日で、これがレイプ告発をめぐり、更に受け入れがたく非論理的なハードルとなっている。数人の被害者がこのため告訴ができないと言われたと証言した。「真実と和解委員会」をはじめとするすべての独立委員会が、内戦中のレイプほか性暴力に関する疑惑を捜査する権限を持つよう、ネパール政府は保障すべきである。

また、地元女性権利団体および内戦の影響を受けたコミュニティの女性たちに相談の上で、政府は国際基準を満たす賠償計画を立てるべきだ。そして、立法、政策、事業的改革をより大きな枠組みの中で実施し、内戦時のレイプ被害者が法の裁きを模索する際の障壁や溝を取り去るよう努めるべきだろう。

また、あらゆる「真実委員会」を含む和平プロセスにおいて女性の参画を確保し、これら委員会が国際基準に見合うよう保障すべきだ。

前出のガングリー南アジアディレクターは、「その社会的不名誉から、性暴力は特に被害者にとって告発が難しい」と述べる。「さればこそ政府は、そこかしこにあるハードルを被害者のために排除し、性暴力の告発を実行かつアクセス可能なものにする制度を構築すべきなのだ。」

性暴力被害者による証言の一部抜粋(報復の可能性から被害者を保護するために仮名を使用した):

「私をサッカーボールみたいにして、そこかしこへ蹴りました。最初の男にレイプされたときはまだ意識がありましたが、当時小屋には4、5人いました。実際何人が私をレイプしたのか分かりません。」-夫が毛沢東主義派の支援者だったマダビは2004年、政府軍兵士にレイプされた

「私の髪は長かったので、男たちはそれをつかんで引っ張りまわしました。それから地面に投げつけて蹴り始めたのです。その中の1人が私の頭を蹴ったとき、ブーツが私のイヤリングに引っかかったのがみえました…。それから服や下着までも引き裂きはじめました。」-夫が毛沢東主義派の戦闘員だったナンディータは2001年にレイプされた

「あの男たちが罰せられたかどうかは知りません。私を捕らえた毛沢東主義派組織に指揮官らしき人物はいませんでした…。いくら泣き叫んで、助けを求めてもだめでした。あの男たちがしたことは、何から何まで私の意志に反するものでした。」―協力を拒否したミーナは2004年に毛沢東主義派に拉致され、レイプされた

「あれは緊急事態のさなかで、あたりには恐怖が渦まいていました。私たちは警察、医者、誰にも何も言う勇気がなかったんです。妻の看病だけに集中しましたが、ひどい状態で怒ったりすすり泣いたり。2カ月間看病し続けましたが、妻の体は青あざだらけでした。とても弱っていたので、病院に連れて行きました。病院ではグルコース3瓶をもらいましたが、レイプについては何も言いませんでした。」―2002年に治安部隊に集団レイプされたビパシャの夫

「彼(夫)はものすごく怒ると時々レイプのことを持ち出して、私はだらしない女だから家を出て行けと言います。あのことがあってから夫は変わってしまいました。昔は幸せだったけれど、何もかも変わってしまった。自分を価値のない女のように感じてしまうんです。」-2006年に毛沢東主義派にレイプされたサントーシ

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