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ラオス:人権状況 改善なし

強制失踪や基本的自由の組織的抑圧を 速やかに停止すべき

(バンコク)-ラオス政府は組織的な人権問題に対処せずにいる、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、同国の人権状況について国連に提出した意見書内で述べた。今年10月にジュネーブの国連人権理事会で、ラオスに関して2回目の普遍的定期的審査(UPR)が行われる予定だ。

意見書内でヒューマン・ライツ・ウォッチは、国際社会の注目に値する問題をいくつか挙げた。これらには、ラオスで基本的自由が著しく制約されていることや、労働権が不在であること、薬物使用の疑いがある個人を起訴しないまま人権侵害の横行する薬物常用者拘留センターに拘禁していることなどが含まれる。中でも特に憂慮されるのは、活動家たちの強制失踪だ。社会活動家のソムバット・ソムポーン氏は2012年12月に警察の職務質問を受けたのち、そして環境活動家のSompawn Khantisouk氏は2007年1月に警察署への出頭を命じられて以来、消息が分からなくなっている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理のフィル・ロバートソンは、「ラオス政府は、ソムポーン氏の強制失踪に対応すべきとする国際社会の懸念を無視して、ものともせずにいる」と述べる。「ラオス政府に対し政府開発援助を提供している政府は、同国で強制失踪などの人権侵害が増える現状を踏まえ、今後はやり過ごしたりはしない旨を強調する必要がある。」

ラオス政府は、2010年に行われた最初の普遍的定期的審査でした約束の実現にむけた具体的な改革に、何ら着手していない。政府は中核的な国際人権条約を批准すべきであり、表現や集会・結社、マスメディアの自由に対する制約をやめ、労働法および関連規定を国際労働機関(ILO)の中核的労働基準まで引き上げるべきだ。また、薬物常用者拘留センターにおける人権侵害を調査したうえで閉鎖し、地域共同体における医学的に適切な、自発的な薬物依存治療制度に移行すべきである。

ラオス政府は表現および集会・結社の自由を著しく抑圧。刑法は国家を「毀損」または「弱体化」すると政府がみなす活動を違法としている。すべてのテレビおよびラジオ局、そして活字媒体が政府の厳しい支配下に置かれており、「国家利益」または「伝統的文化・価値」に反すると考えられる記事や放送はすべて禁止。無許可のデモ活動に関係した人びとには長期刑が科されてきた。

労働者たちは一様にその権利を拒否され、独自の労働組合設立または自由意志での参加を禁じられている。ラオスではすべての組合が、政府が掌握するラオス労働組合連盟に所属しなければならない。労働法で定められている制約から、ストライキの権利の行使も不可能だ。加えて関係当局は、デモ活動の強制解散の能力をこれまで再三誇示してきた。

前出のロバートソン局長代理は、「ラオス政府は国民の反対意見をいっさい許容せず、人権侵害的な国内法と長期刑を適用することで、政府に対する異議を押さえ込んでいる」と述べる。「政府関係者がほぼ処罰されることもなく意のままに行動できることを知っているラオスの人びとは、自国政府を恐れている。」

ラオス政府当局はまた、薬物常用者拘留センターに拘禁された人びとの諸権利も侵害している。こうした施設にいる人びとは自らの意思に反して数カ月、ときには数年にもわたり拘禁されていることが、ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査で分かっている。施設での拘禁には司法審査はなく、継続的な司法モニタリングや異議申立といった適正手続き上の保護もない。

前出のロバートソン局長代理は、「ラオスの強制的な薬物依存更生施設は、様々な人権を侵害するものだ」と指摘する。「薬物使用を疑われた人びとが恣意的な逮捕のすえに公正な裁判を拒否され、拘留センターの中で、残酷で非人道的な治療を受けさせられることになるのだから。」

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