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ラオス:活動家の「失踪」から1年 行動が必要

政府はソムバット・ソムポーン氏の消息を明らかにすべき

(バンコク)-ラオス政府は著名な社会活動家ソムバット・ソムポーン氏の消息を直ちに明らかにすべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。氏は1年前、首都ビエンチャンの警察の検問所で拉致された。2012年12月15日に発生したこの強制失踪事件に関する捜査は不十分であり、ラオス政府には氏の消息について信頼性に足る説明を示すことが求められている。

「ソムバット・ソムポーン氏が『失踪』して1年になる。ラオス政府は明らかに、この著名な市民の身に起きた事件を、世界が黙って忘れてくれることを望んでいる」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチアジア局長代理フィル・ロバートソンは述べた。「ラオス政府に支援を行っている国は、ソムバット氏の強制失踪問題を、氏が生還する日まで優先的に取り上げるべきだ。」

監視カメラの映像によると、ジープを運転していたソムバット氏は、2012年12月15日午後6時3分に警察官に停車を命じられると、身元不明の男たちによりタードゥアの警察の検問所に連れ込まれた。直後、オートバイ1台が検問所に停まった。その運転手は乗ってきたオートバイを路肩に置き、ソムバット氏のジープを運転して立ち去った。数分後にヘッドライトをつけたトラックが検問所で停車すると、2人の男が降りてきて、ソムバット氏を乗せて走り去った。

複数の外国政府が、ソムバット氏拉致時の監視カメラ映像の詳しい分析への支援など、技術支援を申し出ているが、ラオス政府はこれを繰り返し拒んできた。

2度にわたる欧州議会代表団、ビエンチャンの外交官団、ラオスを訪問した各国外務省関係者がソムバット事件について働きかけを行ってきたが、ラオス政府からはまともな反応がない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

ソムバット氏の妻シュイ・メン氏はバンコクのジャーナリストと会談し、「沈黙の壁がビエンチャンを、ラオス全土を支配している」と述べた。

ソムバット氏はラオスの「参加型開発訓練センター」の創設者で元ディレクター。氏は教育・開発分野で、ラオス国内とアジア地域で広く尊敬されている。2005年には、氏の功績に対し、アジア有数の賞であるマグサイサイ賞(社会指導部門)が贈られた。

ラオスは、「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」(強制失踪条約)に署名(未批准)している。国際法上の強制失踪の定義は、政府職員やその意を受けた者が個人を逮捕、拘禁または拉致したにもかかわらず、自由をはく奪している事実を認めないか、失踪者の消息または所在を隠ぺいすることを指す。

強制失踪は、ラオスも批准する国連自由権規約で保護される一連の基本的人権の侵害である。とくに、恣意的な逮捕や拘禁、拷問または残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱い、超法規的処刑の禁止規定に違反する。

「ラオス政府はソムバット氏の帰還を求める声が止まないことを認識すべきだ」と前出のロバートソンは述べた。「ソムバット氏の失踪から1周年を迎え、事件の真相を明らかにし、氏の自由を確保せよとの要求が改めて高まっている。」

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