Photos of Snowden, former NSA employee, and president Barack Obama, on the front pages of English- and Chinese-language papers printed in Hong Kong.

© 2013 Reuters

(ワシントンDC)-国家安全保障局(NSA)の元契約職員エドワード・スノーデン氏の亡命申請について、ヒューマン・ライツ・ウォッチは次の声明を発表した。

スノーデン氏が明かした米国と英国による大規模な通信情報の監視は、プライバシー権の重大な侵害を示すものだ。これが真実ならば、不正行為を疑われたり、脅威とみなされたりしたわけでもない、何百万人もの一般市民の通信・結社・移動をめぐる通信情報が収集されていることを示唆する。こうした無差別な情報収集は、本質的に過剰であり、「両国への潜在的脅威に対して近い将来有効かもしれない」という仮説から正当化されるものではない。

政府の雇用者または職員による機密漏えいは、多くの場合法律で禁じられている。しかし国際法上では時に、公共の利益の観点から公的機密漏えいの正当性が認められる。特に過剰で不当な監視といった重大な人権侵害にいたっては、それらを告発し、諸権利をまもる必要性も出てくるだろう。国家安全保障における内部告発をめぐっては、内部告発者が公共の懸念についての情報を漏えいした場合に、政府が告発者を処罰の対象とすべきではない条件が、国際的な原則で様々まとめられている。

国家安全保障分野の人権侵害を告発した人びとに関する、米国の内部告発者保護策は国際基準に遠く及ばない。米国内法には、公共の利益に基づく告発に対する報復や処罰から、国家安全保障関連の内部告発者を適切に保護する規定が存在しない

スノーデン氏は米連邦裁判所において数々の容疑で訴追されており、容疑の一部から長期刑が下される可能性もある。訴追の中には、時代遅れの米スパイ防止法を適用したものも含まれる。このあいまいな法律に関する米国の解釈は、国際人権法に一致しない。重大な社会的懸念を暴露した内部告発者については、一様に十分な弁護が認められていないからだ。

米裁判所が今回の事案をめぐり、スパイ防止法をいかように解釈する可能性があるかを示唆する前例はほとんど存在しない。しかし米政府は過去に、内部告発者が国益を損なう意図があったか否か、あるいは機密漏えいが実際の損失を引き起こしたか否かの立証は、その他の諸事項と同様に、同法では義務づけられていないと主張してきた。

結果としてスノーデン氏は、帰国すれば「政府による大規模なプライバシー権侵害の事実を市民は知る必要がある」という彼の政治的意見ゆえに、重大な危険と向きあう可能性を亡命申請の根拠とすることができるだろう。またスパイ防止法が内部告発者に対して、一様に信頼に足る保護や弁護を認めていないことから、訴追ならびに厳しい判決が予想される。これにより同氏は、(庇護申請で)国際難民法上求められる重大な危機直面の可能性を主張することもできる。

加えて未決拘禁者や服役者にとって、長期の独房監禁や交流の制限といった要求ゅうも厄介な問題だ。米国からのや弁護を認めていないのでで米刑務所の環境も厄介な問題だ。米国による身柄の引き渡し要求を検討中の国々は、スノーデン氏が裁判のために帰国した場合、残虐で非人道的、あるいは品位を損なうような扱いを受ける危険について、評価をしなければならないだろう。

スノーデン氏が亡命を求める国々はいずれも、氏の主張を公正に検討し、氏が擁する国際法上の権利を保護すべきだ。同氏の引き渡しを求める米国の圧力に抵抗する可能性の高い国々のなかには、当該国自体が政府批判者や反体制派の保護をめぐり、粗悪な記録を有している可能性もある。しかし、それがスノーデン氏の件で国際難民法上の諸義務を無視する理由にはならない。

スノーデン氏の擁護を明言する国々は、自国の市民や政府批判者、内部告発者の言論の自由と情報の自由も保障すべきだ。米国も何十年にもわたり、自国政府を批判したがゆえに厳しい処罰に苦しむ人びとの政治的亡命を受け入れてきた事実を、心に留め置くべきである。本件で米国は、スノーデン氏の亡命を受け入れる可能性のある他国に圧力をかけるようなダブルスタンダードを適用してはならない。