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ビルマ:子ども兵の除隊 進まず

国連に公約した協力の成果は「落第点」

(ニューヨーク)-ビルマ政府が国連との間で、子ども兵の使用の停止に関する合意書を取り決めて約一年が経つが、事態に進展は見られない。

2012年6月に、ビルマ政府と国連は「共同行動計画」に調印した。この中でビルマ政府と国軍は、2013年12月までに国軍での子ども兵の採用と使用を停止すると約束した。明確な目標設定にもかかわらず、国軍は計画が定める義務を果たしていない。 

「ビルマと国連の合同行動計画策定から1年が経つが、ビルマ国軍は進捗状況を表す基本的な指標すら達成できていない」と、子どもの権利局アドボカシー・ディレクターのジョー・ベッカーは述べた。「ビルマ側がこのプロセスをただちに開始しなければ、今年12月までに子ども兵の採用と使用を全面停止するとの公約を履行することは到底不可能だ。」 

今年5月に国連事務局長は、ビルマでの子どもと武装紛争に関する3回目の報告書を安全保障理事会に提出した。報告書では、ビルマ国軍の取り組みに若干の進展があったことが言及されているものの、協力が不十分だったことも明らかにされている。報告書はまた、国際労働機関(ILO)が、報告対象期間である2009年4月から2012年12月に、未成年者(たった10歳の子ども含む)の採用を770件確認したと記している。実際の数字がもっと大きいことは、まず間違いない。行動計画が調印された2012年6月から2013年1月31日の間に国軍から除隊になった子どもの数はわずかに66人だった。 

この行動計画では、ビルマ政府は、2012年11月までに国軍にいるすべての子どもを特定および登録し、18か月以内、つまり2013年12月までにすべての子どもを国軍から除隊させることを約束している。行動計画調印からほぼ1年が経つが、登録プロセスの終了にはほど遠く、子どもの除隊に関する進展の遅さは許容範囲を超えている。 

これまで少なくとも4回にわたり、ビルマ国軍は、子ども兵の存在を確かめるために国連が行う軍施設への立入調査を拒否し、この公約に背いている。 

当局はまた、18歳の採用年齢に関し、10年間教育を受けた16歳については例外に認めるとする規定を設けようとしている。もう一つの大きな障害は、新兵採用に関する違法なインセンティブが引き続き存在することだ。現役軍人や腐敗した文民公務員が、書類をねつ造または違法に入手して、採用年齢未満の子どもを軍の採用センターに送り込んでいる。国軍は、こうしたインセンティブの仕組みと、部隊定員を満たすようにとの国軍高級幹部の圧力に対し、適切な対処ができていない。 

ビルマ国軍は、国境警備隊および名目上は国軍の統制下にあり子ども兵を使用しているとされる元民族武装勢力に、国連がアクセスすることを禁止している。国連のアクセスは数十の非国家武装勢力についても認められておらず、カレン民族同盟やカレンニー軍など一部の勢力は、中央政府との和平プロセスを1年以上にわたって行っているにもかかわらず、子ども兵の使用で国連事務総長のリストに入っている。 

「ビルマ国軍は子ども兵の使用停止をなかなか進めないだけでなく、その効力を確認する国連の作業を妨害してもいる」と、ベッカーは述べた。「この事実からだけでも、安全保障理事会は、公約にある進展に関する政府の取り組みについて、『落第』としなければならない。」 

ビルマの大半の非国家武装勢力は、政府軍よりはるかに少ないとは言え、子ども兵を抱えている。実情は組織によってかなり異なり、子ども兵の使用停止策をとるところもあれば、子ども兵の使用を完全に否定したり、使用について何の懸念も示さないところもある。 

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ビルマの子ども兵使用に関する報告書をこれまで2冊発表している。タイトルはそれぞれ「握った銃は自分の背丈と同じだった:ビルマの子ども兵」(2002年)と「売り飛ばされた子どもたち:ビルマにおける子ども兵採用に関する報告」(2007年)であり、ヒューマン・ライツ・ウォッチは現在もモニタリングを続けている。国際人権団体Child Soldiers Internationalの最近の報告によれば、子ども兵の採用は高い割合で続いており、政府の共同行動計画の遵守のあり方も粗末だ。 

ビルマ政府と国軍に対するヒューマン・ライツ・ウォッチの勧告は以下のとおり。 

  • 国連に対し、行動計画遵守状況のモニタリングと確認のため、国境警備隊のものを含めるすべての軍事基地、兵舎、訓練施設、採用センターなど関連する軍事施設への完全なアクセスを許可すること。 
  • ビルマ国軍と国境警備隊は、すべての子どもの特定・登録・除隊を急ぎ、行動計画の定める義務に従って、遅くとも2013年12月までにすべての子ども兵の除隊を終えること。 
  • 18歳未満の子どもの採用を例外なく防止する実効的なメカニズムを実施すること。 

ヒューマン・ライツ・ウォッチは国連安全保障理事会に対し、ビルマ政府の行動計画に明記されている通りに2013年12月までに子ども兵の採用と使用を停止しない場合、渡航禁止や資産凍結など対象限定型制裁を科すよう強く求めた。安全保障理事会は、子どもに対する暴力の停止を定める行動計画の実施を怠る武装紛争当事者に対して、こうした措置を取ることを検討すべきだ。 

「国連などがこの問題に長年関心を寄せているにも関わらず、子どもたちが依然としてビルマ国軍と反政府武装勢力に採用されている」と、ベッカーは述べた。「ビルマ政府首脳が約束を果たさなければ制裁措置が待っていることを、国連は明確に示すべきだ。」

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