(ジュネーヴ)国連人権理事会は、ビルマの劣悪な人権状況について現行の監視体制を維持すべきであると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。

国連人権理事会の今会期におけるビルマに関する決議草案は、理事会アジェンダの第4項目に基づきビルマに関する特別報告者のマンデートを継続し、同国の人権状況の進展に関するモニタリングと報告を保障すべきである。アジェンダの第4項目は、理事会の継続的な関心を必要とする状況に対処するためのものだ。

「ビルマの改革に対する人権理事会の支援によって、同国で続く深刻な人権侵害に向けられた国際的な懸念が覆い隠されてはならない」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュネーブアドボカシーディレクターのジュリエット・デ・リベロは述べた。「理事会はビルマに関するモニタリングと報告の継続を承認し、人権改革を前進させ、残存する多くの困難な人権問題の解決に対処すべきである。」

ビルマの人権状況に関する国連特別報告者トマス・オヘア・キンタナ氏が最近行った報告では、依然残る大きな課題として、ムスリムであるロヒンギャ民族の権利改善、カチン州での戦時国際法違反行為の終結、困窮する集団への人道援助配布の確保、権利侵害をもたらす法律の撤廃が挙げられている。現在ヨーロッパ訪問中のテインセイン大統領と同理事会のビルマ政府代表部は、キンタナ氏の報告で示されたものをはじめ、同国で人権侵害が続くことを示す独立した調査結果を依然として認めていないと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。

テインセイン大統領が2012年11月19日、バラク・オバマ米国大統領のラングーン(ヤンゴン)訪問前日に行った公約には、国連人権高等弁務官事務所の国別事務所招致の誓約、いまだ獄中にある政治囚の事案を扱う評価機構の設置、アラカン(ラカイン)州での暴力の停止、襲撃事件の責任者の訴追、赤十字国際委員会の刑務所訪問再開と紛争地域でのモニタリングなどが挙げられていた。

「国連人権理事会は、一連の改革に関する公約の実施を迫るとともに、公約実施のモニタリングに関して自らが主要な役割を果たすことを自覚すべきだ」と前出のリヴェロは述べた。「人権問題を扱う国連の機構は現在の改革に大きな貢献を果たしてきた。監視のレベルを下げることは時期尚早であるとともに、このいまだ頼りないプロセスに破壊的な影響を及ぼす可能性がある。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは人権理事会に対し、ビルマでの改革プロセスをさらに推進するため、同国政府に次の措置の実施を求めるよう、強く求める。

·         人権のモニタリング、保護、技術支援に関する完全なマンデートを有する、同国での国連人権高等弁務官事務所の事務所開設に関する覚え書きに調印すること。

·         現在も獄中にある政治囚を釈放するとの公約を履行し、2月に政府が設置した政治囚評価機構の作業を全面的に支援すること。

·         国軍が現在も行っている人権侵害行為を停止するため、必要なあらゆる措置を講じること。その最たる例はカチン州だ。またこうした人権侵害行為の責任者を訴追すること。

·        非暴力の反体制活動家の訴追や基本的権利の侵害に用いられてきた、現在も有効な法律、政令、規則に関する評価について、作業完了日を明確に定めること。その目的は以上のような法を廃止するか、国際的な人権基準に適合するよう改正することに置かれる。

·        ビルマでの「効率的なガバナンスと、民族的少数者の権利に関する問題を解決する、持続可能な政治的解決策を模索する」との公約を履行すること。その1つには、ムスリムであるロヒンギャ民族の大半やその他の少数者集団への国籍付与を行わないために用いられる差別条項を含む、1982年国籍法の改正がある。

「国連人権理事会は、ビルマ政府に少数者の権利問題を隠させないようにすべきである」とリベロは強調した。「その1つに、1982年国籍法の改正による、ムスリムであるロヒンギャ民族への差別の終結がある。」