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スリランカ:国連人権理事会は調査を開始すべき

法の正義とアカウンタビリティ実現に向け  独立した国際調査が必要

 

(ジュネーブ)-今年3月の会期で国連人権理事会は、スリランカ内戦の最終盤数ヶ月間に行われた戦争犯罪に対する独立した国際調査を承認するべきである、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは同理事国に宛てた書簡で述べた。

人権理事会が昨年3月の会期で、スリランカ政府に行動を求める決議を採択した以降も、人権侵害被害者に対する法の正義実現やアカウンタビリティ(真相究明・責任追及)問題に関し、スリランカ政府は何の措置も講じていない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局 局長ブラッド・アダムスは「昨年一年中スリランカ政府は、法の裁きを求める活動家への脅迫と、国際社会を寄せ付けまいとして、僅かばかりの、嘲笑うかの様な行動を繰り返してきた」と指摘。「人権理事会はそのような姑息な戦術をはねつけるべきだ。そして、これ以上の遅延を避けるため、紛争末期に一般市民推定4万人が死亡した事態に対する、独立した国際的調査を承認すべきである」とする。

国連人権高等弁務官事務所は2013年2月11日、法の正義実現と法的責任の追及(ジャスティスとアカウンタビリティ)を行わないスリランカ政府の姿勢を厳しく批判する報告書を公表すると共に、「国際人権法及び国際人道法への違反疑惑に対し、独立的かつ信頼性の高い国際調査を行う」よう強く求めた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは国連人権理事会の各理事国に対し、国連人権高等弁務官事務所の下での国際調査を行うという内容の決議の採択に対する支持を求めた。

2009年に終結したスリランカ政府とタミル・イーラム・解放のトラ(以下LTTE)との内戦中における両陣営による戦争犯罪などの人権侵害について、2011年4月公表の国連専門家委員会報告書やヒューマン・ライツ・ウォッチ、そして国際危機グループ(International Crisis Group, ICG)などが信頼性の高い報告書を発表している。しかしスリランカ政府は、人権侵害疑惑に対する公平かつ信頼性の高い調査を一切せず、2009年に行われた重大な人権侵害に関し、いかなる刑事訴追も行わなかった。つまり、これまで人権侵害に関し完全に不処罰を貫いている。人権侵害申立てを調査するためとして政府が発足させた軍裁判所調査は2月15日、一般市民の犠牲に関し軍を完全に免責する報告書を公表、最も憂慮すべき事態を迎えている。

法の正義実現と説明責任の追及(ジャスティスとアカウンタビリティ)の双方を行わないという政府の怠慢に加えて、スリランカにおける人権状況は昨年3月の人権理事会総会以降、悪化の一途をたどってきた。マヒンダ・ラジャパクサ大統領政権は、政府による立法と司法に対する支配権を強めると共に、民主的空間を狭めてきた。スリランカ政府は、最高裁判所が2012年秋に政府提出の法案に違憲判断を行った後、最高裁長官の弾劾を行い、事実上最高裁判所の独立性をはく奪。ラジャパクサ大統領はその後すぐに、内戦時の人権侵害に対する責任追及を長らく否定してきた政治的盟友を新たな最高裁長官として任命した。

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