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ビルマ:非暴力抗議行動参加者の訴追 取り下げよ

抗議運動取締りをやめ、集会法を改正し国際基準への適合を

(バンコク)  ビルマ政府当局は、政府の政策に反対する非暴力の抗議行動に参加した活動家の訴追を取り下げるべきだ。国際平和デーにあたる2012年9月21日にラングーン(ヤンゴン)で無許可デモを行った9人の平和活動家は現在、刑事訴追されている。ビルマの他の地域でも、鉱山開発反対運動の参加者と土地権擁護運動の活動家が脅迫や迫害を受けている。

「政府が非暴力デモ参加者を訴追したことは、ビルマでは基本権の尊重に憂慮すべき制限が加えられていることを示している」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ アジア局長代理フィル・ロバートソンは述べた。「ビルマ政府首脳は国際会議や二国間会合で妥当な発言を行っているかもしれない。だが改革を目指すというレトリックは、抗議運動参加者が集まる街中や郊外では空疎な言葉でしかない。」

ビルマ政府は、2011年の「平和的集会と平和的行進に関する法」を直ちに改正して、届け出違反に懲役刑を科すと定めた箇所を削除するなどし、国際人権基準に適合させるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。

2012年9月以降、当局はラングーンとモンユワでのデモ申請を根拠のない理由で却下し、サガイン管区サリンジー郡モンユワ付近での鉱山拡張反対運動を暴力的に弾圧した上で、同法を根拠として、基本的権利を行使した人びとに対して保護ではなく訴追を行ったと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。最近では、カチン州の州都ミッチーナーで1月10日に予定されていた「第65回カチン州の日」記念集会への開催許可が下りなかった。

内戦で疲弊するビルマのカチン州に平和を、と呼びかけるデモがラングーンで2012年9月21日に1,000人以上を集めて行われた。このうちデモに参加した13人の活動家は、デモを許可制とする平和的集会法18条に違反した容疑で、地元警察署や裁判所から繰り返し出頭を命じられている。被告のうち2人はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、9月以降これまでに、ラングーン市内の複数の区で30回以上の裁判所での審理に出席を求められたと話している。

「2か月半で、すでに30回以上も裁判所に出頭した」と、活動家の1人は述べた。「出頭には交通費など出費もかさむが、その日暮らしの生活と仕事に支障をきたすことが金銭以上に堪える。多大なストレスや緊張を強いられる。仕事、裁判所の期日、家庭生活のバランスをとらなければならない。大変辛い状態だ。」

訴追された活動家は、デモが通過した10区のそれぞれで最高1年の刑を科せられる可能性がある。活動家側は、複数の裁判所での訴追をまとめ、1つの裁判所で審理するよう求めたが、10月24日、ダゴン区の裁判所はこの要請を退けた。2箇所の区裁判所でもこの要請への決定が出る予定だ。検察側は、訴訟を1つの裁判所での審理にまとめ、長期にわたり被告が複数の裁判所に何度も出頭しなくても済むようにすることを拒否している。これは嫌がらせに該当するもので、十分な防御を行うという被告人の権利を侵害している。

政府は、抗議行動参加者に過剰な有形力の行使も用いている。2012年11月29日早朝、サガイン管区サリンジー郡レッパウダウンで、政府治安部隊は、僧侶ら抗議行動参加者が滞在していた6つのキャンプを強制的に解散させた。人びとは議論を呼んでいるモンユワ銅山の拡張工事に反対していた。複数が逮捕され、少なくとも40人が負傷し、多数が重い火傷を負った。当局は、ラングーンで行われた鉱山開発反対行動でも参加者を逮捕した。11月26日にラングーンでは6人が逮捕され、うち数人が社会不安を煽り、治安を乱したとして扇動の罪で起訴された。このほか2人が、11月29日のレッパダウンでの弾圧に抗議したとして12月2日に逮捕された。

12月15日、フラトゥン大統領府相は、11月29日に当局が取った行動を公的に謝罪した。テインセイン大統領も鉱山拡張問題に関する調査委員会を設置したが、警察による不必要な実力行使を調査するマンデートは与えなかった。抗議行動参加者への暴力行為に関して処分や訴追は一切行われない一方で、ラングーンでの抗議行動参加者への訴追は現在も取り下げられていない。

「政府が謝罪を行い、鉱山拡張反対運動キャンプでの火傷事件について調査委員会を設置したことはよい手始めだ。しかし結果が伴わなければまったく意味がない」と、前出のロバートソンは指摘した。「外国政府と企業は、完全な責任追及と司法改革を実施するよう強く求め、今回のような事件が二度と絶対に起こらないようにしなければならない。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチによれば、今回のケース以外でも、平和的集会法が非暴力の抗議運動を押さえ込むために用いられている。10月8日に当局は、ラングーンのトーウィン家具工場の敷地外で労働条件改善を訴えた労働者数人を逮捕した。7人が無許可デモによる同法18条違反で起訴されている。同じような逮捕劇が、政府の労働事務所の外に集まり、ラングーンのミュー・アンド・スー縫製工場の労働条件に抗議した同工場の組合幹部6人にも起きている。

平和的集会法は2011年12月2日にテインセイン大統領が署名したもので、複数の西側政府はこれを大きく歓迎した。同法では非暴力集会を行う権利が表面上認められてはいる。しかし虚偽の情報を含む演説、国家と連邦を毀損する内容の発言、あるいは「恐怖や騒乱、交通の遮断、車両運行や国民の往来の妨害を引き起こす行為」を刑法違反とする条項がある。有罪になると最高で3年の刑と5万チャット(5400円)の罰金を科される。

世界人権宣言の条文に反映されているとおり、国際人権法では表現の自由と平和的な集会の権利が保護されている。基本的自由の法的制限は、明確かつ詳細に特定されるとともに厳格な必要性原則と均衡原則に則るべきだ。ビルマの平和的集会法は、集会の自由に関する権利を、当局の完全な裁量による曖昧で適用範囲が広すぎる規制に委ねており、一部の違反行為については不均衡な量刑を定めていると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。

「ビルマ政府は、発想を切り換えて、非暴力の抗議行動から力強い民主主義が生まれることを認識する必要があることは明らかだ」と、ロバートソンは述べた。「ビルマには平和的な集会を促進する法律と、そうした集会を理解し、尊重する当局があるべきだ。」 

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