Skip to main content
寄付をする

イラン:投獄中のジャーナリストへの虐待を停止せよ

政治的動機に基づく有罪判決の取消と釈放を

(ニューヨーク) - イラン当局は投獄中の著名ジャーナリスト2人への虐待を即時停止し、必要な医療を施すべきだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは当局に対し、この男性2人への有罪判決は表現の自由への侵害であり、これを取り消し、無条件釈放するよう重ねて求めた。

モハンマド・サーディク・カブードヴァンド氏はクルド人の指導的な人権活動家で、政治的動機に基づく10年6カ月の刑に服している。氏は2012年5月26日にテヘランのエヴィーン刑務所でハンガーストライキを始めた。血液の重い病に苦しむ、成人した息子への面会を何度も求めたにもかかわらず、刑務所当局が拒否していることへの抗議だ。バフマン・アフマディー=アムーイー氏は多数の改革派系出版物に関わるジャーナリストで、カブードヴァンド氏と同じ区画に5年の刑で収容されたが、6月12日にキャラジ市内の刑務所に移送された。ハンガーストライキで命を落とした別の囚人の一周忌を記念したことへの懲罰と見られる。

「カブードヴァンド氏はすでに5年にわたって人権侵害、虐待、放置を経験してきた。不正に抗議することを選んだ、というただそれだけの理由だ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ中東局長サラ・リー・ウィットソンは述べた。「重病の息子に面会するための仮釈放を認めないのは、イラン当局による不必要に冷酷な対応だ。」

カブードヴァンド氏自身も健康上の問題を抱えており、心臓の状態はかなり悪い。妻はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、体調はハンガーストライキのせいでさらに悪化したと述べた。アフマディー=アムーイー氏の家族は刑務所当局者から、懲罰として外部交通を遮断した独房に収容したと言い渡された。家族は移送が行われてから面会ができず、心身の健康状態の悪化を懸念している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ/ヘルマン‐ハメット賞(助成金)がカブードヴァンド氏には2009年に、アフマディー=アムーイー氏には2011年にそれぞれ贈られている。同賞は表現の自由のために真摯に取り組み、政治的迫害と果敢にたたかう著述家に贈られる。

カブードヴァンド氏の妻パリーナーズ・ハサニー氏はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、7月9日に面会した際には、ハンガーストライキによって体重が減り、肺の感染症を患っていたと述べた。カブードヴァンド氏は刑務所の医師が静脈注射による血清を使った栄養提供を行うことを拒んでいる。当局側が氏に入院中の息子の面会を最後に許可したのは2か月半前で、当局者が同席し、1時間に満たないものだった。それ以来面会許可は下りていない。

刑務所当局は所内の医師の助言にもかかわらず、カブードヴァンド氏に複数の身体上の慢性疾患を治療するための仮釈放を認めてこなった。ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれまでもカブードヴァンド氏の身体面での健康状態について懸念を表明し、当局に無条件釈放を求めてきた。2007年に収監されて以降、カブードヴァンド氏は2回心臓麻痺を起こし、高血圧を煩い、神経系統の病気も抱える。また前立腺にも問題がある。

情報部はカブードヴァンド氏を2007年7月1日に逮捕した。2008年5月、革命裁判所第15法廷は氏に対し、クルディスタン人権機構(HROK)の設立で「国家の安全を毀損した」として10年半の刑を宣告し、また「ニュースを通じて反体制プロパガンダを拡散したこと、投石刑による死刑などの刑罰を公表したこと、政治囚の支援を訴えたこと」で1年の有罪判決を下した。2008年10月、テヘラン高等裁判所第54法廷はこの判決を維持した。

「イラン当局が、投石刑などの残虐な刑罰に反対し、政治囚のための活動をしたという『犯罪』でジャーナリストを投獄していることは理解に苦しむ」と、前出のウィットソンは述べた。

国際法とイラン国内法は共に、刑務所当局に対して、被拘禁者に十分な治療を提供することを定めている。イラン国家刑務所機構規則には、被拘禁者は、必要に応じて矯正施設外の病院に移送されなければならないとの規定がある。国連被拘禁者処遇最低基準規則は、当局に対し、専門家による治療を必要とする囚人について、民間病院などの専門機関に移送することを義務づけている。

アフマディー=アムーイー氏の妻ジーラー・バニーヤアグーブ氏はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、当局が夫をエヴィーン刑務所第350区画からラジャーイー・シャフール刑務所の独房に強引に移送して以来、夫に関する情報を一切聞かされていないと述べた。バニーヤアグーブ氏はテヘランから47キロ西にある同刑務所まで移送が行われてから何度か足を運んでいるが、当局はアフマディー=アムーイー氏との面会を許可せず、情報を一切提供していない。

バニーヤアグーブ氏は、夫のアフマディー=アムーイー氏が移送されたのは、政治囚だったホダー・サーベル氏の獄死1年を追悼する行事に関与したことへの懲罰だと述べた。氏はエヴィーン刑務所第350区画で刑に服していたが、2011年6月10日にテヘランの病院で死亡した。これに先立ち、サーベル氏は政治活動家のハーレ・サハービーの死に抗議してハンガーストライキを行っていた。

治安部隊がアフマディー=アムーイー氏を逮捕したのは、結果が大きな争点となった大統領選後の2009年6月20日のことだった。氏は7年4カ月の刑と鞭打ち34回を宣告されたが、控訴審で5年に減刑された。主な容疑は「反体制プロパガンダ」「大統領への侮辱」「国の安全を脅かす行為」であり、国営紙やウェブサイトに寄稿したアフマディネジャド政権批判の記事が根拠とされた。

刑務所当局はアフマディー=アムーイー氏の面会権や電話を掛ける権利を繰り返し制限してきた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは2010年8月、エヴィーン刑務所当局に対し、アフマディー=アムーイー氏ら17人の政治囚への虐待と懲罰を停止するよう求めた。かれらは家族との交通権が認められないなど、刑務所の処遇環境の悪化に抗議してハンガーストライキに入っていた。当局は懲罰としてアフマディー=アムーイー氏ら全員を独房拘禁とした。

刑務所当局はただちにアフマディー=アムーイー氏の独房拘禁を解除し、妻や家族との面会を許可すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

イラン国内法と国際法は共に刑務所当局に対し、すべての囚人について基本的なニーズを満たし、尊厳と敬意を持って処遇すべきことを義務づけている。イランも締約国である市民的及び政治的権利に関する国際規約は、非人道的な、または侮辱的な処遇や刑罰を禁止している。2004年に国連の恣意的拘禁に関する作業部会はイランが独房拘禁を組織的に使用していることに抗議し「こうした完全な形での独房拘禁は、それが長期にわたると、拷問等禁止条約が定める意味での非人道的処遇と関わる可能性がある」点に留意した。国連被拘禁者処遇最低基準規則は「懲罰としての独房拘禁の廃止、あるいはその使用の制限に向けた努力は実施され、奨励されるべきだ」としている。

「カブードヴァンド氏とアフマディー=アムーイー氏は、自らの信念のために立ち上がった勇気により賞賛されるべきであって、投獄や虐待を受けるべきではない」と、前出のウィットソンは述べた。「2人は本当に多くのことを犠牲にしながら、あらゆるイラン人が持つ自らの意見を述べる権利を主張しているのだ。」 

GIVING TUESDAY MATCH EXTENDED:

Did you miss Giving Tuesday? Our special 3X match has been EXTENDED through Friday at midnight. Your gift will now go three times further to help HRW investigate violations, expose what's happening on the ground and push for change.