(ワシントンDC) - グアンタナモ収容所に初めて容疑者が拘禁されてからちょうど10年となる目前に、バラク・オバマ米大統領は裁判なしの無期限拘禁を認める法案に署名した。ヒューマン・ライツ・ウォッチはオバマ大統領宛に2012年1月10日付け書簡を送付し、グアンタナモ収容所の即時閉鎖にむけて断固とした行動をとるよう求めた。
国防権限法(National Defense Authorization Act, NDAA)は、一定のテロ容疑者の拘禁を軍事拘禁とすると定めるとともに、裁判なしの無期限拘束を米国法に組み込む条項などから成り、オバマ大統領就任の際に示されたテロ対策のビジョンを完全に否定するものである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘する。この法律は、被収容者の米国移送に国防総省の資金を使用することを禁じていることから、連邦裁判所での裁判に対する事実上の禁止措置となっている。また、被収容者の本国や第三国への移送を(不可能とはいえないまでも)難しくする。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、これらの規定を国際人権法及び人道法に沿って解釈するとともに、今後廃止に向けて行動するようオバマ大統領に求めた。
「グアンタナモ収容所が運営され続ける限り、悲劇は日々増す一方だ」とヒューマン・ライツ・ウォッチのテロリズム対策上級顧問・アドボカシー担当のアンドレア・プラソウは話す。「オバマ大統領は、グアンタナモ収容所の10周年を、閉鎖に向けた真摯な政策でもって迎えるべきだ。まずは、連邦裁判所での裁判を禁じる法律の改正を目指すとともに、移送許可が下りた被拘禁者を解放することから始めるべきだ。」