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イラン:獄中の聖職者の健康と安全 確保せよ

反体制派聖職者ホセイン・カーゼメイニー・ボルージェルディー師の生命に深刻な危機

(ニューヨーク)イラン当局は、アーヤットラー・ホセイン・カーゼメイニー・ボルージェルディー師に加えられた脅迫や攻撃に関して、迅速で徹底的な調査を行うことを確約し、氏に対して刑務所外で適切な治療を受けることを許可すべきだ、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた。ボルージェルディー師(52)は現体制の宗教制度を批判してきたシーア派の聖職者で、深刻な健康問題を複数抱えている。

氏と家族の関係者はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、2011年11月22日に、氏は口論していた同房の囚人に殺されそうになったと述べた。家族と支持者は、氏の拘禁条件が危険かつ劣悪なものであることをこれまでも批判している。たとえば氏は麻薬密輸や暴力犯罪で有罪となった荒っぽい受刑者と同じ房に入れられてきた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東局長サラ・リー・ウィットソンは「私たちはボルージェルディー師の福祉と安全に重大な懸念を抱いている」と述べる。「当局は氏に必要な医療を提供しないだけでなく、生命に対する脅威や攻撃をあからさまに放置し、氏の生命をもてあそんでいる。」

ボルージェルディー師はエヴィーン刑務所第350区で、11年の刑の6年目に服している。その容疑が明らかにされたことは一度もない。氏の支持者と家族は、同房者が氏の生命に対する攻撃や深刻な脅威を加えた事件が過去に少なくとも2回はあったとする。

治安部隊は2006年10月8日にボルージェルディー師の自宅に踏み込み、氏と数十人の支持者を拘束した。氏に近い消息筋はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、当局側は氏が政教分離を主張していることを理由に嫌がらせを続けていて、最終的に身柄を拘束したのだと指摘する。この逮捕劇以来、ボルージェルディー師はイラン・イスラーム共和国と、シーア派最高指導者を国家元首とする同国の統治理論「法学者の統治」論(ヴェラーヤテ・ファギーフ)をはっきり批判してきた。

当局は、ボルージェルディー師に対し、本人が選任した弁護士との交通をこれまで一切認めていない。2007年に宗教指導者特別法廷で行われた非公開裁判もその一つだ。消息筋がヒューマン・ライツ・ウォッチに明らかにしたところによれば、氏は、死刑犯罪である「武力による体制破壊」(モハーレベ)など複数の治安関係の容疑で有罪を宣告された、という。その後の控訴審で、刑は死刑から11年の刑に減軽された。

宗教指導者特別法廷はイラン・イスラーム共和国の創設者であるアーヤットラー・ルーホッラー・ホメイニーによって設置され、シーア派と非シーア派双方の反体制派聖職者を裁く。同法廷は司法権からは独立して機能し、憲法上の規定に一切拘束されない。同法廷は設置以来数十人の改革派聖職者と反体制派聖職者の裁判を扱い、有罪判決の結果投獄された人もいる。罪状にはイスラームの価値観への侮辱、反体制プロパガンダ、背教など、最高刑が死刑となるものが含まれる。

イラン当局はボルージェルディー師の起訴から判決に関する公けの情報の提供を一切拒んでいる。当局は氏が定期的な面会を受ける権利を行使することを認めておらず、家族や支持者を標的として嫌がらせや財産の没収、逮捕、身柄拘束を行っていると、氏に近い消息筋はヒューマン・ライツ・ウォッチに語っている。

伝えられるところでは、ボルージェルディー師は視力の減退、糖尿病、高血圧を患っている。氏に近い関係者はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、氏は心臓疾患の治療を受けなかったために肺水腫を発症したと述べた。この女性によれば、エヴィーン刑務所の医師団は病院での治療の必要性を氏に告げたものの、刑務所当局は氏が所外での適切な治療を受けることを繰り返し拒否していた。

10月1日付の公開書簡で、人権活動家のグループが氏の健康状態の悪化に懸念を表明した。そして氏が「もっとも非人道的な形の身体的かつ心理的な拷問を受け、自らの信条を放棄するとの文書への書名を強制されている」と指摘した。ヒューマン・ライツ・ウォッチは過去にもボルージェルディー師の拘束を批判した上で、イラン当局に対し、氏に必要な治療を受ける機会を与えるよう求めてきた。

国際法とイラン国内法は共に、刑務所当局に対して、被拘禁者に十分な治療を提供することを定めている。国連の被拘禁者取扱のための基本原則は、当局に対し、医療専門家による治療を必要とする囚人について、民間病院などの専門機関に移送することを義務づけている。このほかイランの国家刑務所機構規則には、必要なときには、被収容者が適切な治療を確実に受診できるよう、矯正施設外の病院に移送されなければならないとの規定がある。

前出のウィットソンは「ここ数年の間に複数の政治囚が虐待や拷問、医療拒否によってイラン国内の刑務所で死亡している」と指摘する。「暴行や医療の欠如によってボルージェルディー師の健康が悪化するようなことがあれば、その直接の責任はイラン当局にある。」 

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