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アップデート: 推定死者数 少なくとも233名に

複数のリビアの病院の情報筋からの情報によると、リビア各都市で行われている4日間の抗議行動での死亡者の推定数は、少なくとも233名にのぼった、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表した。

ベンガジのアルジャラー(Al Jalaa)病院のスタッフは20日、50名の死亡を確認したと述べた。10月7日病院は同日10名の死亡を確認したと報告。つまり、2月20日のベンガジにおける死者数は60名にのぼることとなる。よって、2月17日以来、リビアの5都市における抗議行動での死者数は合計233名となる。ヒューマンライツウォッチは、ベンガジにあるその他2つの病院と連絡をとることはできなかった。 

(ニューヨーク)-アフリカ連合と、リビアと外交関係を持つアフリカ・アラブ・西側諸国は、リビア政府にデモ参加者の不当な殺害を停止するよう強く求めるべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。病院職員やその他の情報源からヒューマン・ライツ・ウォッチに伝えられた報告によれば、この3日間でのデモ参加者の死者は少なくとも173名にのぼるとみられる。

2011年2月19日、ベンガジのカティバ(治安部隊の本拠地)近くのデモ参加者に対し、治安部隊は自動小銃による発砲など実弾を使用し、数十人の死者と負傷者が出ているという報告があり、リビア政府当局の不当で不法な武力行使への深刻な懸念が高まっている。政府は国内の全てのインターネット回線を閉鎖し、メディアからの電話インタビューに応じたリビア国民を逮捕しており、現地からの最新の情報の入手が非常に困難になっている。

「デモ隊は、実弾発砲や死をも恐れずに3日間も抗議運動を続けており、リビアにおける人権上の大惨事が起きつつある。」と、中東・北アフリカ局局長サラ・リー・ウィットソンは述べた。「リビアは情報通信を全面的に遮断しようとしているが、虐殺を隠す事は出来ない。」

目撃者がヒューマン・ライツ・ウォッチに伝えたところによると、2月20日、その前日に射殺された84名のデモ参加者の葬儀の後、少なくとも1万人の市民がベンガジの街頭でデモに参加した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチに証言をした複数の目撃者によると、デモ参加者への暴力行使は、2月19日に数千名の市民が前日に治安部隊に射殺された14名のデモ参加者の葬儀に集まった後に始まった。葬儀の列は、数千人のデモ隊を率いてベンガジ裁判所の前の広場からハワリ(Hawari) 墓地まで行進。その途中に、ムアマル・カダフィ大佐の住居の1つもあり、治安部隊によって厳重に警備されているファディル・ブ・オマール・カティバ (Katiba El Fadil Bu Omar)複合施設の前を通過した。

黄色のベレー帽を被り目立つ制服を着た治安部隊要員たちが、その行進に参加していた者へ無差別に発砲した、と3名の目撃者が証言している。ある抗議運動参加者A.Gはヒューマン・ライツ・ウォッチに、「治安部隊が撃ってきたのは、私たちが平和的に歩きながら政府とカダフィに対する怒りの声をあげていた時だった」と話した。

その抗議運動に参加していたもう1人の弁護士はヒューマン・ライツ・ウォッチに、「黄色いベレー帽を被った男たちが実弾で撃ってきて、人が何十人も倒れるのが見えたんです。それが長く続いて、私もケガをしました。それで病院に行きました。」と話した。その日の夕方、ヒューマン・ライツ・ウォッチがもう1人の抗議運動参加者に話を聞くと、その人は、「カティバの近くに行った人は皆撃たれた」のでその地域から逃れた、と語っていた。夜になってもベンガジ裁判所の前には数千名の市民が抗議に集まっていた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが話を聞いた、ベンガジのアルジャラー (Al Jalaa)病院の幹部関係者らによると、午後3時に死体が運び込まれ始め、その日のうちに23の遺体を受け入れ、2月20日の朝までにその病院に搬入された遺体の数は70に上った、とのこと。遺体と負傷者の大多数には、頭・首・胸等の部位に4cm x 4cmの銃傷があったと、その医療従事者は語っていた。ベンガジのハワリ(Hawari) 病院の医療従事者は、ヒューマン・ライツ・ウォッチに14の遺体を受け入れたと語り、更にヒューマン・ライツ・ウォッチは2月19日にミスラタ(Misrata)で1名の抗議運動参加者が死亡したのを確認していることから、2月19日に殺害された者の総数は85名になる。ヒューマン・ライツ・ウォッチは4日間の抗議運動での死者は173名になると計算している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、リビアと外交関係を持つアフリカ連合・欧州連合・フランス・イタリア・英国・米国その他各国政府に、以下に掲げることを強く求めている。

  • 平和的に行動する抗議運動参加者に対する違法な武力行使を止めるよう公に表明すること
  • 国際人権法への重大な違反に関与した者は個人として責任を問われるべきであり、適切な措置が下されるであろうことを表明すること
  • 武器及び治安対策装備のリビアへの全面輸出禁止措置を取ること
  • インターネットへのアクセスを復活させるよう求めること

リビア政府は2月19日にインターネットへのアクセスを遮断。2月20日になっても復活していない。国際的にインターネット上のセキュリティを提供している、アーバー・ネットワークス(Arbor Networks) の主任研究員クレイグ・ラボヴィツ (Craig Labovitz)氏は、リビアでのインターネット通信が2月19日午前2時にゼロになったと証言している。

ある弁護士はヒューマン・ライツ・ウォッチに、2月19日未明、治安当局者が、ベンガジで最も著名な弁護士の一人であるアブデルハフィズ・ホグハ(Abdelhafiz Ghogha) 氏を逮捕したと伝えた。ホグハ弁護士は1996年にアブ・サリム(Abu Salim)刑務所で殺害された遺族たちの代理人を務めていた。彼の逮捕で、デモが始まって以来当局に拘束された活動家・弁護士・元政治犯の総数は、少なくとも17名に上ることになった。

「1996年にリビア当局はアブ・サリム刑務所で、1日で1,200名にのぼる囚人を殺害した。にもかかわらず、今も当時何も悪いことをしていないという認識を変えていない。」とウィットソンは語った。「今日、リビア政府は、自国民に対して無慈悲な残虐行為を未だに仕掛け続けている。そのことを、世界に明らかにしたのだ。」