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イラン:病気の政治囚を釈放し、ただちに治療を

モハンマド・サーディク・カブードヴァンド氏に脳卒中の疑い 「適切な治療なし」と家族

(ニュー ヨーク) - イラン司法権はモハンマド・サーディク・カブードヴァンド氏を直ちに治療し、不当な収容を解くべきだ。ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた。イランでクルド人の人権のために活動家している著名な活動家であるカブードヴァンド氏は、政治的な判決を受け、11年の刑に服している。氏は2010年7月15日 に脳卒中を起こした可能性があるが、家族によれば、必要な治療を受けていない。

7 月20日にカブードヴァンド氏自身が一般検察庁に公開書簡を送り、「7月15日午後に意識不明となる〔中略〕脳神経系の問題がおきた」と記した。刑務所当局は氏をエヴィーン(エヴィン)刑務所内の診療所に移送したところ、血圧が急上昇しているのが観察されたが、治療は行われなかった。この書簡でカブードヴァンド氏は、意識不明になって以来「激しいめまいと、感覚、運動、視覚面の障害に関連する神経系のトラブルに絶えず悩まされている」と記した。氏の弁護士ナスリーン・ソトゥーデはヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、7月15日に司法権当局に対しカブードヴァンド氏が必要とする治療を行うよう訴えたが、この要請には今まで返答がないと述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東局長代理ジョー・ストークは「カブードヴァンド氏の健康状態は悪化しており、ただちに精密検査が必要だ。囚人に必要な治療を施さないことは残酷で違法だ」と述べた。「イラン政府当局は氏の福祉に責任を持っており、氏がただちに必要な治療にアクセスできることを保証すべきだ。」

カブードヴァンド氏 は2007年7月に逮捕・収容されて以来、2度心臓発作を起こしている。氏の健康状態に関する今回の情報が明らかになる前には、NGO「イランの人権問題に関する国際キャンペーン」とアムネスティインターナショナルから一連の報告書が発表され、刑務所当局は政治囚が必要とする治療を組織的に控えていると指摘されていた。

国際法およびイラン国内法は、刑務所当局が被収容者に十分な治療を提供すると定めている。イランの国家刑務所組織規則によれば、必要なときには、被収容者は刑務所施設外の病院に移送されなければならないと定めている。1955 年の国連被拘禁者処遇最低基準は、当局に対して、特に治療が必要な被収容者を民間病院などの専門施設に移送することを義務づけている。

7 月23日、カブードヴァンド氏の姉はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、当局がついに当日の早い時間にカブードヴァンド氏が神経科医の診察を受けることを許可したと述べた。しかしこの医師は詳細な診断や検査を行わず、薬を処方した上で、どんな薬かも説明せずにただ毎日飲むようにとだけ申し渡したとのことだ。また当局は氏の面会権を奪っており、1日に2分間の通話を認めるだけだとも付け加えた。

カブードヴァンド氏は、著名な人権活動家であるとともにジャーナリストであり、2005年にはクルディスタン人権機構(HROK)を立ち上げた。同機構にはイランのクルド人地域全体から200人の記者が加わり、時事的なニュースを掲載する「パヤーメ・マルドム」(国民からのメッセージ)を刊行するまでに成長した。ただし、同新聞は、現在発禁処分を受けている。カブードヴァンド氏は同紙の常務兼編集長だ。

情報部職員は2007年7月1日にカブードヴァンド氏を逮捕。エヴィーン刑務所の209区画へ収容した。ここは情報省の管轄下にあり、政治囚の収容に使われている。氏はほぼ6ヵ月にわたり起訴されないまま独房監禁状態に置かれた。2008年5月に革命裁判所第15支部はカブードヴァンド氏に対し、クルディスタン人権機構を設立し「公共の安全に反する活動を行った」罪で10年の刑を宣告し、さらに、「ニュースを流すことで現体制に反対する広範なプロパガンダ活動を行い、また石打ち刑や処刑などの刑罰を公表し、政治囚のために活動することでイラン刑法に違反した」として1年の刑を追加した。2008年10月にテヘラン高裁第54支部はこの判決を容認した。

カブードヴァンド氏は、イラン当局に投獄されている数十人のクルド人反体制派の一人。その一部には死刑判決が下されている。当局は、クルド人反体制派を、市民活動家も含めて、分離独立を掲げる武装組織に属しているとして頻繁に訴追。イラン革命裁判所はこれまでも多くのクルド人について「武力による体制破壊」(モハーレベ)の罪で有罪判決を下してきた。イラン刑法第186条および同190~191条によれば、国家に対して武力を用いて反抗するか、政府に対して武力で反抗する組織に属しているとして起訴された人物は、モハーレベで有罪とされ、死刑を宣告される可能性がある。今年初め、当局はこうした一連の容疑でファルザード・キャマーンギャルら4人のクルド人反体制派を処刑した。

死刑執行の危険性があるクルド人反体制派16人の氏名は以下の通り。

ズィーナブ・ジャラーリアーン、ロスタム・アルキア、ホセイン・ヘズリ、アンヴァル・ロスタミー、モハンマド・アミーン・アブドラヒー、ガデル・モハメザーデ、ハビーボッラー・ラティーフィ、シェルコ・モラレフィ、モスタファー・サリーミー、ハッサン・タリー、イーラジ・モハンマディー、ラシッド・アフカンディー、モハンマド・アミーン・アグーシ、アフマド・プーラドハーニー、サイエド・サーミ・ホセイニー、サイエド・ジャマール・モハンマディー

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、これまでにもイラン政府に対し、カブードヴァンド氏への不当判決を取り消し、氏に緊急治療にアクセスする機会を与えるように求めてきた。2009年にヒューマン・ライツ・ウォッチは、カブードヴァンド氏にヒューマン・ライツ・ウォッチ/ヘルマン‐ハメット賞(助成金)を授与。これは、政府関係者や政策を批判したか、論争的な話題について意見を述べたことを理由として迫害される著述者に贈られる賞。

「カブードヴァンド氏は、民族的少数者の権利を擁護する人権活動家でありジャーナリストという理由で、イラン当局から不当に投獄されている」と前出のストークは述べる。「そして現在、当局は十分な医療へのアクセスを禁じることで、氏の平和的な政治活動に更なる懲罰を与えているのだ。」

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