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イラン:反体制派の処刑 「自白するまで拷問」

クルド人囚人の少なくとも17人に近く死刑執行の危険性

(ニューヨーク) - イラン政府は最近囚人5人に死刑を執行した。うち4人は少数民族クルド人だった。執行を家族に通知せず、現時点で遺体返還にも応じていない。拷問によって得られたと考えられる自白に基づき、有罪が言い渡されていた事件だった。

テヘラン検察庁の報道発表によれば、クルド人の囚人4人(ファルザード・カマーンガル、アリー・ヘイダリヤーン、ファルハッド・ヴァキーリー、シーリーン・アラム・フーリ)は2010年5月9日朝、テヘランのエヴィーン(エヴィン)刑務所で絞首刑に処せられた。政府は、非合法組織の王政主義者グループのメンバーとされたメフディー・エスラーミヤーンの死刑も執行した。当局は現在もこの5人が、イランの複数の都市で起きた政府や公共施設での爆弾事件などの「テロ作戦」に関与したと主張する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東局長代理ジョー・ストークは、「イラン政府が少数民族の反体制派グループに、一連の不当な死刑執行を続けている。今回のクルド人4人の処刑もその一貫だ」と述べる。「イラン司法権は、クルド人の反体制派の活動家を、民間の社会活動家までひっくるめて分離独立派の武装組織のメンバーだと繰り返し批難している。そして、反体制運動の弾圧のため、こうした人びとに死刑判決を下している。」

テヘラン検察官は声明の中で、カマーンガル、ヘイダリヤーン、ヴァキーリーとアラム・フーリは、非合法組織「クルディスタン自由生活党」(PJAK=ペジャーク)のメンバーであることを自白したと述べ、テヘランならびにイラン北西部で起きた一連の爆弾事件に関係していたと主張。アナリストたちは、一般的に、PJAKをトルコの非合法組織「クルディスタン労働者党」(クルド労働者党=PKK)のイラン支部とみなしている。

イラン政府は、今回処刑された唯一の非クルド人であるエスラーミヤーンを、2008年に同国南部のシラーズの宗教施設で起きた爆弾事件に関与したとして起訴した。また氏は王政主義グループ「イラン王国議会」(Anjoman-e Padeshahi)のメンバーだと主張した。2010年初頭には、同組織のメンバーとされたアーラシュ・ラフマーニープールとモハンマドレザー・アリー・ザマーニーの2人に死刑が執行されている。

革命裁判所第30支部は2008年2月25日に、カマーンガル、ヘイダリヤーンとヴァキーリーに死刑を宣告した。カマンガールの弁護団に参加し、この3人の非公開裁判に出席した弁護士ハリール・バフラーミヤーンは、一審は陪審がいないなど著しく不公平なものであり、控訴審でもその有罪判決が維持されたと述べた。氏は5月9日、BBCの取材に対し、カマーンガルの公判時間はわずか10分だったとした上で、裁判官に対し、依頼人のための弁論を行ないたいと申し立てたところ、「[弁護人の]懸念は書面で提出するように」と指示されただけだったと話した。

「最後まで[裁判官は]私の主張に耳を貸そうとしなかった」とバフラーミヤーンはBBCに述べた上で、依頼人のカマーンガルは、PJAKはもちろん、一切のテロ組織とまったく何の関係もないと断言した。

司法権はこの5人が治安関係の様々な罪を犯したと認定。その上で、「武力による体制破壊」(モハーレベ)の罪で全員に死刑を言い渡した。イラン刑法第186条および同190~191条によれば、国家に対して武力を用いて反抗するか、政府に対して武力で反抗する組織に属しているとして起訴された人物は、モハーレベで有罪とされ、死刑を宣告される可能性がある。

治安部隊は2006年7月に、コルデスターン州キャミーヤーラーンの高校の校長だったカマーンガルをテヘランで逮捕した。2008年2月、バフラーミヤーン弁護士はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、依頼人がサナンダジュ、ケルマーンシャーとテヘランの刑務所で当局から多数の虐待と拷問を受けたと主張していることを伝えた。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、刑務所から密かに持ち出されたカマーンガルの自筆書簡一通を入手。そこには性的暴行の脅迫など氏が受けた拷問が詳しく記されていた。バフラーミヤーン弁護士はエスラーミヤーンの代理人も務めている。

ヴァキーリー、ヘイダリヤーンとアラム・フーリも、刑務所からの書簡でこれと似た申立を行い、自白強要目的での拷問を当局が行っていると述べている。刑務所からの一連の書簡で、クルド人女性アラム・フーリ(28)は、コードや電気警棒での殴打など、当局から受けた心身両面に対する無数の拷問を詳述した。アラム・フーリはテヘランの革命防衛隊施設での自動車爆発事件に関わったとして起訴されていた。

5月9日の死刑執行は予告なく実施された。政府は囚人の弁護人にも家族にも通知しなかったと、バフラーミヤーン弁護士と囚人の家族は述べた。バフラーミヤーン弁護士はBBCに対して「法によれば、私には代理人2人に関する情報が伝えられることになっている。だが[執行の]通知は一切なかった。」カマーンガルの兄弟の一人はBBCに対して、家族が死刑執行を知ったのはマスコミの報道からだったと話した。

別の囚人の家族の一人はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、埋葬のために遺体を引き取りたいという家族の要請を当局は依然として拒否している、と述べた。イスラームの慣習では一般に、埋葬は出来るだけ早い時期に(24時間以内が望ましい)行われるべきとされている。

「イラン司法権はすべての死刑執行をただちに停止すべきだ」と前出のストークは述べる。「死刑執行を停止すべき対象者には、死刑を宣告されたことが判明しているクルド人17人も含まれる。」

死刑執行の危険性があるクルド人17人の氏名は以下の通り。

ロスタム・アルキア、ホセイン・ヘズリ、アンヴァル・ロスタミー、モハンマド・アミーン・アブドラヒー、ガデル・モハメザーデ、ズィーナブ・ジャラーリアーン、ハビーボッラー・ラティーフィ、シェルコ・モラレフィ、モスタファー・サリーミー、ハッサン・タリー、イーラジ・モハンマディー、ラシッド・アフカンディー、モハンマド・アミーン・アグーシ、アフマド・プーラドハーニー、サイエド・サーミ・ホセイニー、サイエド・ジャマール・モハンマディーとアズィーズ・モハメザーデ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの死刑に対する立場は、残虐で非人道的な性質の刑罰であり、いかなる場合でも行われるべきでない、というものである。

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