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スリランカ:国際的調査が必須

内戦中の人権侵害を調査する政府委員会の突然の終了で、法の正義の実現は暗礁に

(ニューヨーク)-内戦中におきた人権侵害を特別に調査する政府委員会を終了するとスリランカ政府が発表。この発表は、スリランカ政府とタミル・イーラム解放のトラ(LTTE)が犯した国際法違反を調査する国際調査委員会を設立する必要性を更に明確にしている、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

「スリランカ大統領の調査諮問委員会は、まさに竜頭蛇尾だった」、とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理 エレーン・ピアソンは述べた。「両陣営による人権侵害に対する国際調査の必要性は、以前にもまして増大している。」

殺人・強制失踪などの16件の重大な人権侵害を調査するために2006年に設置された大統領調査諮問委員会のマンデートは2009年6月14日に終了したが、更新されなかった模様。同委員会議長の、前最高裁判所主任裁判官ニッサンカ・ウダラガマ(Nissanka Udalagama)は、16件のうち7件が調査されたと述べたが、同委員会の報告書は何も公表されておらず、何らの訴追も報告されていない。同委員会が調査した事件には、トリンコマリー(Trincomalee)で起きた学生5名に対する残虐な殺人事件、ムートル(Mutur)で起きた援助活動従事者17名に対する即決処刑事件、ケビティゴレワ(Kebitigollewa)でバス乗客68名が死亡した爆撃事件などが含まれていた。調査が進まないことや、マヒンダ・ラジャパクサ(Mahinda Rajapaksa)大統領に調査報告書を公表する意思がないことに、ヒューマン・ライツ・ウォッチは懸念を表明し続けてきていた。

内戦終結直前の数週間におきた残虐な事件の数々の結果、中立的で公平な調査を行なう必要性が高まった。スリランカ北東部での戦闘は、1月の初旬から、政府が5月にLTTEを破るまで激化し続けた。その間、両陣営とも数多くの重大な戦時国際法(戦争法)違反を犯した。LTTE部隊は避難民を「人間の盾」として使い、戦闘地域から脱出しようとする民間人に発砲。政府軍は、負傷者の手当てをしている病院など、人口密集地域に繰り返し重砲を撃ち込んだ。

5月に開催された、国連人権理事会のスリランカに関する特別会期で、国連人権高等弁務官ナビ・ピレー(Navi Pillay)は、「中立かつ信頼性の高い国際的調査団が、国際人権法及び国際人道法に対する違反行為の発生の有無、その内容や規模、加えて、具体的な責任の所在を確かめるため、派遣されるべきである」、と述べた。

5月23日、ラジャパクサ大統領と潘基文(Ban Ki-moon)国連事務総長は、スリランカで共同声明を出した。そこでスリランカ政府は、国際人権法及び国際人道法の違反に対する法的責任を明らかにし有責者の責任を追及するプロセスの必要性について、「措置を講ずる」と述べた。

「大統領諮問委員会を解散する決定は、ラジャパクサ大統領には、潘国連事務総長と結んだ約束を実行する意思が殆どない、という事を示している」、とピアソンは述べた。「今こそ、関係諸国が立ちあがり、スリランカの長かった内戦における人権侵害の被害者たちのために、法の正義の実現を確保するべきである。」

スリランカでは、2008年にヒューマン・ライツ・ウォッチが発表したレポート「悪夢の再来」で報告した様に、数万件に及ぶ未解決の強制失踪や、非合法殺人事件が起きている。現在も深刻な人権侵害が続いているが、ごく少数の訴追しか実現していない。

大統領調査諮問委員会は、深刻な人権侵害を調査して犯人を訴追するという目的のためには、もともと不適切で不十分な措置に過ぎなかった、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。スリランカ政府が人権侵害の解決のために設置したその他のアドホック機関なども、情報の収集や訴追の実現などの成果をほとんどもたらしていない。

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