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中国:有力な人権弁護士が資格免許喪失の脅威に直面

政府は法曹の独立性の保証を

(ニューヨーク)-20名を超える中国の著名な人権弁護士が、権利擁護活動に対する当局による明らかな報復処置として、弁護士業務を行なう権利を喪失する危険がある、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

中国の法律では、弁護士と法律事務所は、業務を行なうための免許を毎年更新しなければならない。この更新手続きは、ときに、政治的な思惑によって運用されている。この数週間、北京司法当局が、弁護士たちの免許更新申請を認めないよう、法律事務所に圧力をかけようとしている、と人権弁護士らは話している。さらに、人権訴訟を担当する弁護士の雇用を継続した場合、事務所の業務にも支障が出る恐れがある、と、司法当局が法律事務所の所長らに面会や電話で警告しているという。

「専門業種の免許を毎年更新させることを通じた統制は、中国の法律専門家の独立に対する重大な障害となってきた」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局アドボカシーディレクター、ソフィー・リチャードソンは述べた。「圧力にさらされた法律事務所が、弁護士の側に立つことを決意した場合であっても、この種の干渉は、法律専門家を萎縮させる効果を持つ。」

登録手続きの詳細を記した北京司法局作成の2009年4月14日付公式通知書によれば、弁護士は、登録の締め切りである5月31日以前に、毎年、申請書を提出しなければならない。免許を更新しなかった弁護士は、事実上一時的に資格を剥奪される。

現在標的にされている弁護士の多くは、人権侵害の被害者のために訴訟を起こし、政府に一層の責任を果たすよう強く求めるなど、これまでに、多くの注目を浴びている活動に関与してきている。こうした弁護士たちは、「メラニン汚染粉ミルク事件の被害者家族」、「四川省地震の際、学校が他の建物に比して高い確率で崩壊した原因に対して調査を求める、子供を亡くした両親」、「チベットでの大規模な弾圧に関係して逮捕されているチベット人」などの代理人を務めてきた。他にもHIV/エイズ患者、警官の権力濫用による被害者、農地から追い立てられた農民、法輪修練者などの代理人もいる。

過去数年にわたり、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、弁護士の権利に対する侵害、司法手続下での被告人の権利に対する広範な侵害行為、当局が政治的に慎重な対応が必要と判断したケースに対する当局の干渉パターンと政治的コントロールの実態を、広範囲に調査し、取りまとめてきた。2008年6月に弁護士法改定が発表された時、政府は、弁護士のための新たな手続的保護を確立すると約束したが、その努力は不適切だった。法律専門家としての役割を果たそうとする弁護士の安全を実際に保護するための努力や、政府が支配する全中国弁護士協会(同国の弁護士会)にこうした役割を果たすことを認めるための努力はされなかった。

弁護士の独立性をまもるという法改正の公約を果たすどころか、法執行官による弁護士の拘禁や身体的虐待は増加した、とヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘している。2009年5月13日に起きたそのような事件として、ザン・カイ(Zhang Kai)、リ・チュンフ両弁護士が「労働による再教育」のための施設に収容中に死亡した男性の家族と面会した後、逮捕され、重慶市の警察留置所で暴行を受けた事件などがある。当局は、現在まで、その事件について捜査することを拒否している。

「弁護士に対する干渉及び報復は、法の支配に対する直接の攻撃である」とリチャードソンは述べた。「そのような行為は、不正義を永続化させ、司法制度に対する信頼を損ない、法に従って国を統治するという政府自身の誓約にも違反するものである。」

免許の更新がなされないのではないかと懸念されているのは、以下の北京の弁護士たちなどである。

Li Heping, Cheng Hai, Jiang Tianyong, Li Xiongbing, Li Chunfu, Wang Yajun, Tang Jitian, Yang Huimin, Xie Yanyi, Li Dunyong, Wen Haibo, Liu Wei, Zhang Lihui, Peng Jian, Li Jinglin, Lan Zhixue, Zhang Kai and Liu Xiaoyuan

北京外で業務を行っている2名の弁護士、Wei Liangyue 及びYang Zaixinについても、免許更新されないのではないかとの懸念が報告されている。

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