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イスラエル:砲撃再開で、ガザ地区の民間人の危険増大

2年間停止されていた砲撃をイスラエル軍が再開

(ワシントンDC)- イスラエル軍は今回の攻撃でガザ地区での砲撃使用を再開した。イスラエル軍が2006年と同様「安全地帯(safety zones)」を縮小する措置をとれば、民間人が多数犠牲となった2006年と同様、多くの民間人が重大な危険に直面することとなる、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。イスラエル軍は、2006年11月8日のベイトハヌーンの砲撃で、パレスチナの民間人23名が死亡し、40名が負傷した事件以来、ガザ地区での砲撃を停止(モラトリアム)していた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2007年7月の報告書「無差別攻撃:パレスチナによるイスラエルへのロケット弾攻撃とイスラエルによるガザ地区での砲撃」で、2005年9月から2007年5月までの間にガザ地区でおきた民間人死亡事件のすべて及び民間人負傷事件の大多数が、イスラエル軍の砲撃使用の急増及び砲撃の際の「安全地帯」を縮小した結果発生した事を明らかにしていた。ベイトハヌーンなどでのこうしたイスラエル軍の砲撃の結果、少なくとも59名が殺害されたが、3名を除く全員が民間人だったことが判明している。このほか、270名が負傷した。

「ガザ地区での砲撃に際し、イスラエル軍が、前回、いわゆる『安全地帯』を縮小する措置をとったため、恐ろしい犠牲を生むこととなった。こうした措置を決して繰り返してはならない」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東局長代理ジョー・ストークは述べた。「砲撃は爆発径が広く、よって、人口密集地帯で使用されると民間人に大きな危険が生じる。イスラエル軍は、砲撃を使用する場合、民間人への危険を避けるため、全ての実行可能な予防策をとる義務を負う。」

イスラエル軍の砲撃でガザ地区の民間人に被害がでる危険性は、2006年4月以降増大した。砲撃目標と民間人エリアとの間の「安全地帯」の距離(攻撃目標から一番近い家または人口密集地区との必要最短距離)を、300メートルから100メートルに縮小する措置をイスラエル軍がとったといわれているのがこの2006年4月である。ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査は、2005年9月以降、調査が行なわれた2007年5月までの間に起きた砲撃によるすべての死亡事件そして8件を除くすべての負傷事件が、この2006年4月以降、砲撃のモラトリアム措置をとるまでの間に発生した事を明らかにした。

イスラエル軍による砲撃が国際人道法(戦争法)上合法であったか否かを評価するには、特定された軍事目標を狙ったか、使用された兵器が軍事目標と民間目標を正確に区別できる兵器だったか、予測される民間人犠牲の規模が予測される軍事な達成の規模に対して均衡を失していなかったかなどを、各砲撃ごとに判断することが必要となる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ハマスその他のパレスチナ武装グループによるイスラエルの人口密集地に対するロケット弾攻撃を、繰り返し非難してきた。ロケット弾自体、非常に不正確な兵器であり、また、ロケット弾を発射する際に軍事目標を正確に狙う事は出来ない。民間人居住エリアに故意に無差別殺傷兵器を発射するという戦略をとることは、戦争犯罪である。2005年以降今回の攻撃が始まるまでの間に、イスラエル国内で民間人19人がロケット攻撃の犠牲となっている。

パレスチナの戦闘員らが、パレスチナの民間人近くからロケット弾を発射することは、それ自体が戦争法に違反している可能性があり、イスラエル軍がそうしたロケット弾攻撃に反撃することは禁止されていない。しかしながら、イスラエル軍は、こうした場合でも、民間人の犠牲を最小限にするための実行可能な全ての手段を講じなければならない戦争法上の義務を負う。仮に、当該攻撃による具体的な軍事獲得目標に比例しないほど多くの民間人の犠牲が予測される場合には、イスラエル軍には当該攻撃を差し控える義務がある。

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