(エルサレム)- イスラエルは、メディアと人権監視員(human rights monitors)のガザ地区への立ち入りを直ちに認めるべきであると、本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。メディアや人権監視員の存在が、交戦当事者による残虐行為を抑え、人びとの命を救う。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、イスラエル政府に対し、2008年12月31日のイスラエル高等裁判所の判決に従い、外国メディアのガザ地区立ち入りを許可するよう強く求めた。交戦地域にジャーナリストや人権監視員らが存在することは、人権侵害や戦争法違反のチェックのために必要不可欠であると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは語った。

2008年11月にイスラエルとハマスの停戦をめぐる状況が悪化し始めて以来、イスラエル政府は、外国ジャーナリストと人権監視員に対してガザ地区への立ち入りを厳しく制限してきた。12月27日に軍事行動を開始して以降は、誰も立ち入りを許可されていない。イスラエル政府は、イスラエル人がガザ地区に入る事を安保上の理由で禁止する政策をとっているため、イスラエル人ジャーナリストは、過去2年間ずっと、ガザ地区への立ち入りを禁止されたままである。

「両陣営の行動を調査し報道するため、ジャーナリストと人権監視員のガザ地区立ち入りを認めるべきだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの緊急事態担当 上級調査員フレッド・アブラハムは語った。「イスラエル政府がガザ地区への立ち入りを過剰に制約しているため、ジャーナリストと人権監視員の生み出す抑止効果が阻害され、民間人がより大きな危険にさらされてしまう。」

国連によれば、1月3日の地上攻撃開始に先立つイスラエルの攻撃により、ガザ地区にでは430名を越えるパレスチナ人が殺害され、そのうち約1/4は民間人という。イスラエルに打ち込まれたパレスチナのロケット弾のため、イスラエルの民間人も3名が犠牲となっている。

イスラエル高等裁判所は、2008年12月31日、イスラエル政府は外国ジャーナリスト12名のガザ地区立ち入りを認めるべき、との判決を下した。イスラエル政府は、エレズ国境検問所を開く際に毎回8名のジャーナリストのガザ地区への立ち入りを認めると明らかにしたが、検問所はこれまでのところ閉鎖されたままである。高等裁判所の判決は、世界の主要な紙媒体メディアや電子メディアなど400名以上が会員であるイスラエル外国人記者協会(Israeli Foreign Press Association)の申立てに対するもの。同協会は、ガザ地区への立入り禁止措置を、イスラエル政府による「報道の自由に対するこれまでに前例のない制限」と述べた。

11月21日及び22日、AP通信社、BBC、CNN、ロイターなど世界の主要な報道機関の幹部らは、イスラエルのエフード・オルメルト首相に宛てた書簡で、「長期にわたる前例のないガザ地区への国際メディアの立入り禁止措置」に異議を申し立てた。

この制限措置の結果、イスラエルの直近の大規模紛争である2006年7月から8月にかけておきたヒズボラとのレバノン紛争のときと比べて、全く報道環境が異なってしまっている。当時、メディアも人権保護団体も、紛争の両側から報道することが出来た。

国際人道法は、武力紛争中も適用され、ジャーナリストと人権監視員の表現の自由の権利を保障している。国家は、国家の安全保障のために表現の自由の制限を許されることもあるものの、それは、法により、かつ、特定の安全上の必要性が真に認められる場合に限られる。この原則は、国家安全、表現の自由、情報へのアクセスの自由に関する1995年ヨハネスブルグ原則により明確化されている。

ヨハネスブルグ原則の抜粋:

「自由な情報の流れに対する制約は、人権法及び人道法の目的を阻害する性質のものであってはならない。特に、各国政府は、人権水準や人道水準が遵守されているかを監視するジャーナリスト、国家間組織代表やNGOの代表を、人権侵害や人道法違反が現に行なわれている又は行なわれたと信じるに足りる合理的な理由のある地域に立ち入ることを妨げてはならない。ジャーナリスト及びこうした団体の代表の存在が、他者の安全に対する明確な危険となる場合を除き、各国政府は、ジャーナリスト及びこうした団体の代表を、暴力活動が行なわれている地域や武力紛争が起きている地域から排除してはならない」

「ジャーナリスト及び人権監視員が存在するということは、単なる情報に対する権利の問題ではない」と、アブラハムは述べた。「紛争下における中立な監視の存在は、残虐行為を抑制し、命を救うことになるのだから。」