(トビリシ)「ロシア当局は、グルジアのゴリ地域でオセチア民兵たちがグルジア系住民を攻撃しているのを即刻やめさせるよう措置を取るべきだ。」と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。またロシア政府は、ゴリ地域から逃れる民間人及び同地域に入る人道援助機関に対し、通行の安全を確保すべきである。

「ロシア軍は事実上ゴリ地域を支配下に治めている。よって、同地域のすべての住民の安全と福利に対して責任を負う。」とヒューマン・ライツ・ウォッチ欧州・中央アジア局長代理レイチェル・デンバーは述べた。「ロシア政府は、民兵の今後の攻撃を止めるよう確保し、この地域に今も留まる何百人もの一般市民(老人も多い)に人道援助を届けることを許可すべきだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員らは、ゴリ市及びその周辺の村出身のグルジア系住民らにインタビューを行った。住民たちはヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、ロシア軍の侵攻に引き続いてオセチア武装民兵が民家を攻撃してきたこと、攻撃から避難する市民の車を民兵が攻撃し、人びとを拉致したさまを証言。今なおゴリ地域に留まっている人びとは、ヒューマン・ライツ・ウォッチに対する電話インタビューの中で、オセチア民兵が村で略奪と焼き討ちするのを目撃したものの、避難すれば攻撃されるので恐怖で村を離れられないと述べた。

ロシア軍は、2008年8月13日に南オセチアから侵攻して以来、ゴリ市とその周辺に留まっている。市民を助けようとする人道援助グループには、ロシア軍からアクセスを拒否されたものもある。国連は、ゴリ市で、限られた食糧を配布することが出来ただけ。そして、国連は、ゴリ市が“絶望的”な人道状況にあるとしている。

「ダト」はオセチア民兵の攻撃の被害にあった。彼はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、自分が他の市民たちと一緒にミニバンに乗っていた時に起きたことを説明した。8月12日、ツクビアリ付近で民兵たちがこのミニバンを停止させ、乗っていた男性たちを拉致しようとしたが、自分と4人の男性は何とか逃げられたという。民兵は、少なくとも8人の男性をその車から拉致したが、同人たちの消息は不明。拉致及び強制失踪は国際法で禁止され、発生状況によっては人道に対する罪又は戦争犯罪に該当しうる。

ゴリ地域にある村出身のグルジア人役人、バシコ・テブドラシビリはヒューマン・ライツ・ウォッチに対して次のように語った。「約250名の一般住民が3つの村に残されたままだ。住民たちはオセチア民兵の攻撃を恐れている。村から逃れるため助けを必要としている。」民間人の間に恐怖を流布することを意図した行動もまた、国際法で禁止され、戦争犯罪に該当しうる。「アンナ」は脱出できずメレチ村に残された学校教師だが、ヒューマン・ライツ・ウォッチの行った電話インタビューの中で窮状を「村に残っているのは60名くらいで大部分は老人たち。公園とか森に身を隠している・・・(親類の)人たちは村で3つの家がオセチア人に略奪されて焼かれたと聞いた。オセチア人が私たちの所にも来て同じような事をするかもしれないと思うと怖い。ほとんどの人がここを離れたがっているけれど、それも怖くて・・・もし逃げたらオセチア人に誘拐されるかもしれないと怖いんです。」と証言した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ゴリ地域の村の人びとと電話で話をすることが出来た。しかし、同地域から避難した人びとの多くは、村に残された親類の消息を知ることができていない。

8月12日及び13日、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、南オセチアのジャバからツクヒンバリに通じる道路沿いのグルジア系住民の村々の民家に対しオセチア民兵が略奪し焼き討ちを行った状況をまとめた。(詳しい背景事情についてはhttps://www.hrw.org/english/docs/2008/08/13/georgi19607.htm 。焼討ちと略奪のスライドショーは https://www.hrw.org/photos/2008/georgia0808/)。

ゴリを支配するロシア軍は、ゴリに入ろうとするほぼすべてのジャーナリストに対しても、立ち入りを拒否した。

紛争の当事者として事実上ゴリ市及びその周辺地域を支配するロシアは、当該地域の民間人の安全及び福利を確保する国際人道法上の義務を負う。仮に、ロシア政府が民間人の保護及びその安全の確保並びに人道アクセスの許与のための適切な措置を取らない場合、ロシア政府は、国際人道法上、民間人に対する重大な違反の責任を問われうる。

「ロシア軍は、ゴリからの出入りのために必要な安全な通行路を即刻確立すべきだ。」デンバー局長代理は述べた。「いかなる者も居住地から強制的に追放されてはならない。しかし、避難したい人びとは安全に避難できなくてはならない。そして、村に残る選択をした人たちや避難できない人たちを人道支援団体が支援することを許可すべきだ。」