(ニューヨーク)- スーダンが国際刑事裁判所(ICC)に協力していない事を批判した国連安全保障理事会の議長声明は、ダルフールで犯されている戦争犯罪の容疑者が処罰されずに放置されている問題に対する国際社会のいらだちを示していると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。この議長声明は本日午前中に発表された。安全保障理事会は、スーダン人2名の容疑者に対し国際刑事裁判所が発付した逮捕状にスーダン政府が従わないことについて、この議長声明で、初めて、公式な措置を取ったこととなる。
 
「安全保障理事会が満場一致で決議した声明は、スーダン政府が平和維持軍の受入れを約束しながらこれを破り続けるということを繰り返して法の正義を妨害することは許されないというメッセージだ。」ヒューマン・ライツ・ウォッチのインターナショナル・ジャスティス プログラムのディレクター、リチャード・ディッカーはこのように述べた。「スーダン政府は、法の正義の面でも、平和維持軍についても、現実の行動を取らなければならない。」

「安全保障理事会が満場一致で決議した声明は、スーダン政府が平和維持軍の受入れを約束しながらこれを破り続けるということを繰り返して法の正義を妨害することは許されないというメッセージだ。」ヒューマン・ライツ・ウォッチのインターナショナル・ジャスティス プログラムのディレクター、リチャード・ディッカーはこのように述べた。「スーダン政府は、法の正義の面でも、平和維持軍についても、現実の行動を取らなければならない。」
 
安全保障理事会は、当該逮捕状がスーダン政府に対して1年前に交付されていることに触れ、「スーダン政府及び他のダルフール紛争の当事者に対し、ダルフールで犯された罪が処罰されずに放置されている問題に終止符をうつため、2005年の決議1593に従い、国際刑事裁判所に完全に協力するよう求める」ものである。この声明は、安保理で米国が議長国をつとめる中で採択された。
 
6月5日、国際刑事裁判所のルイス・モレノ・オカンポ検察官は、安全保障理事会に対し、ダルフールの状況を同裁判所の検察官に付託した決議1593に基づく2件の逮捕状を、スーダン政府が無視していることをブリーフィングした。その後、理事会メンバー国は、1月に理事国となったコスタリカが提案した議長声明を検討してきた。前回、12月に検察官がスーダンの非協力について報告した際には、中国の反対のため、理事会は議長声明に合意できなかった。
 
モレノ・オカンポ氏の6月5日の報告は、2007年4月、国際刑事裁判所において、人道に対する罪及び戦争犯罪の容疑で立件され逮捕状を発付された政府高官のアフマド・ハルーン及び武装組織のリーダーのアリ・クシャイブについて、スーダン政府が、未だに逮捕・引渡しを拒否していることを強調するものだった。同氏は、安保理に対し、スーダン政府には決議1593に従い容疑者を逮捕する義務があるとの全会一致の強いメッセージを出すように求めていた。
 
安全保障理事会は、6月4日から5日まで、ハルツームを訪問したばかりだ。2007年のスーダンへのミッションの時と違い、安保理の今回のミッションの目的には、国際刑事裁判所の逮捕状への協力が含まれていた。そして、安保理は、オマル・アル・バシール大統領を含むスーダン政府高官に対し、スーダン政府が国際刑事裁判所に対し露骨に協力を拒否している問題を提起した。
 
「安全保障理事会は、ダルフールの人びとのための法の正義の実現を、再度、討議対象にした」ディッカーはこのように述べた。「スーダン当局は、本来ならとうの昔に、ハルーンとクシャイブを逮捕し、国際刑事裁判所に引き渡していなくてはならなかったというメッセージを、しっかり受け止め、そして、行動しなければならない。」
 
ICCの検察官のブリーフィングに引き続く発言で、過半数の理事国が、議長声明を支持する強力な対応をとった。討議は、安保理がルワンダ及びスレブレニツァで行動を取らなかったために最悪の失敗をした例を引き合いに出しながら理事会の行動を促すブルーノ・スタニョ・ウガルテ スタリカ外相の力強い発言で始まった。
 
安全保障事会は、2005年3月31日、ICCの検察官に対しダルフールの状況を付託した。2007年4月27日、ICCは、武装組織「ジャンジャウィード」のリーダー、アリ・クシャイブ及びスーダンの人道問題大臣のアフマド・ハルーンに対し、戦争犯罪と人道に対する罪の51の訴因により、逮捕状を発付した。以後、安保理への3回の定期報告の中で、同検察官はスーダン政府がICCへの協力を拒否している事を報告してきた。
 
「コスタリカは優れたリーダーシップを発揮した。」ディッカーはこのように述べた。「我々は、また、安全保障理事会の議長国として、米国が果たした役割を歓迎する。米国政府が法の正義のためにこのような前向きな行動を取ったことは、米国政府がこれまでICCに対し筋の通らない極めてイデオロギーな拒絶姿勢を取ってきたことと、また異なる対応を取ったと言える。」