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ウクライナ:占領下のヘルソン州に閉じ込められた民間人

避難を望む民間人には安全な通行が認められるべき

ウクライナのヘルソンから撤退する際、ロシア軍が爆薬を用いて破壊したアントノフスキー橋。2022年11月16日。 © 2022 Celestino Arce Lavin/ZUMA via Reuters

(ベルリン、2026年7月9日)―ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、ウクライナ南部のロシア占領下にあるヘルソン州(Khersonska)の前線地域に閉じ込められた民間人が、深刻な人道状況に直面しており、安全に脱出する手段がないと述べた。避難を望む民間人には、安全に避難することが認められるべきである。

ドニプロ川(Dnipro River)東岸のオレシュキ(Oleshky)市から脱出した住民たちは、食料と医療の深刻な不足、そして基本的なサービスの崩壊について語った。人々は、ロシア軍の検問所での予測していなかった手続きや、移動中や脱出を試みる際に、続く戦闘行為や地雷によって死亡または重傷を負う危険にさらされた。この紛争中にロシア軍とウクライナ軍の双方が使用してきた対人地雷は、民間人にとって特に重大かつ⾧期にわたる危険をもたらしている。

「占領下のヘルソン州の一部に閉じ込められた民間人は、地獄のような状況の中で生き延びている」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのウクライナ担当副ディレクター、ユリア・ゴルブノワは述べた。「多くの人が脱出に成功したが、残っている人々の中にも、避難がこれほど命がけの賭けでなければ逃げたいと考えている人がさらにいる。」

オレシュキは2022年2月からロシアの占領下にあり、現在ロシア軍とウクライナ軍の間の前線に位置している。ロシア軍とウクライナ軍の双方がこの地域で攻撃を行っており、オレシュキはウクライナ軍による継続的な攻撃にさらされてきた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2025年10月から2026年5月の間にオレシュキから脱出した住民6人(その一部は市内に残る人々と連絡を取り続けていた)と、ヘルソン(Kherson)を拠点とするジャーナリスト1人に聞き取りを行い、報道や公式声明を精査した。

民間人にとって深刻な状況が報告されているヘルソン州のその他の占領地域には、ホラ・プリスタン(Hola Prystan)、スタラ・ズブリウカ(Stara Zburivka)、ノヴァ・ズブリウカ(Nova Zburivka)などがある。

国連ウクライナ人権監視団(UN Human Rights Monitoring Mission in Ukraine)によると、オレシュキとホラ・プリスタンにおける民間人の安全は、2025年から2026年にかけて著しく悪化した。2026年だけでも、同監視団は両市で少なくとも民間人29人が死亡し、54人が負傷したとの報告を記録している。

ウクライナ政府によると、オレシュキにはロシアによるウクライナへの全面侵攻前に約2万4,000人の住民がいたが、現在の人口は推定約2,000人である。残っている人々には、高齢者、脱出できない人々、そして推定200人の子どもが含まれる。ヒューマン・ライツ・ウォッチの知る限り、ロシアの占領当局、国際人道組織、その他の仲介者のいずれも、高齢者、障害のある人、負傷または病気の民間人、その他の高いリスクにさらされている人々のための組織的な避難体制を現在運営していない。

オレシュキの元住民たちは、公共インフラがほぼ完全に崩壊していると語った。電気もガスもなく、多くの人が樹木を薪にして薪ストーブに頼らざるを得なかったという。ディーゼル発電機を持つ人々にとっても燃料がますます高騰し入手困難になっている。中には、水をくみ上げ冷蔵庫を動かし続けるために、太陽光パネルを設置した人もいた。

住民によると、2026年初頭以降、一部の占領地域への生活必需品の商業配送はまれで予測不能になった。売り手がオレシュキに到着すると、群衆があっという間に品物を持ち去ったという。5月にオレシュキから逃れた84歳の女性の娘は、高齢の住民は「群衆と競い合うことができない」と述べた。「母に会ったとき、本当にやせ細っていました」と娘は語った。

「あそこには何もありませんでした。人々は飢えていたのです。」

5月に脱出するまで4か月間自宅に隠れていた別の女性はこう語った。「私の住む地域では、すべてが焦げ、焼け落ちています。水を汲むためだけに外に出るのも怖かったのです。」

住民によると、地元の医療はほとんど機能していなかった。オレシュキ地区病院(Oleshky District Hospital)は非常用発電機の電力で運営されており、対応能力は限られている。ある男性は、地雷を踏んだ65歳の隣人が亡くなるのを目撃したと語った。「動脈が切断されたのです」と彼は言った。「私たちが彼の脚に止血帯を巻こうとしている間、ロシアの[兵士たち]が鎮痛剤を与えました。救急車は私たちのところまで来られませんでした。彼を運ぶ場所もありませんでした……。ドローンが[上空を旋回して]いました。2時間後、彼は失血死しました。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、人道組織がオレシュキや周辺の村々に定期的にアクセスできていたかどうかを確認できなかった。紛争当事者の双方は、国際人道法の下で、民間人への人道支援のアクセスを促進する義務を負っている。

ロシアは占領国として、占領地域の民間人が食料、医療、その他生存に不可欠な物資やサービスを利用できるよう確保する義務を負っている。

聞き取りを行ったオレシュキの元住民全員が、攻撃と地雷による危険が激化していると語った。人々によると、ドローンが上空を「絶えず旋回して」おり、地雷が市内全域や道路沿いに散らばっていたという。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、オレシュキとその周辺におけるドローン攻撃や地雷の敷設の責任を特定していない。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ウクライナ軍がオレシュキとその周辺の道路でドローンや地雷を使用した可能性があるという信頼できる兆候を見いだしたが、その規模、事案の正確な状況、または攻撃や地雷の責任については特定していない。ロシア軍とウクライナ軍の双方が、戦争中にこの広域でドローンと地雷を使用してきた。対人地雷を含む地雷は、民間人に重大かつ⾧期的な脅威をもたらし、避難経路を致命的に危険なものにしかねない。

元住民たちは、民間人のための組織的で安全な避難経路は存在しなかったと語った。3月以降に脱出した人々によると、オレシュキを離れるには、ホラ・プリスタンやフラドキウカ(Hladkivka)を含むロシア軍の検問所を通過する必要があり、通過の可否はロシア軍の裁量に委ねられていたという。

「すべては自己責任です。[逃げたいなら]命を懸けるしかないのです」と、3月に脱出した住民は語った。

紛争当事者は国際人道法の下で、民間人が望む場合に安全に避難できるよう、実行可能なあらゆる措置を講じる義務を負っている。

恐怖、損傷した通信網、電力不足などが原因で、住民は避難可能な経路はどこかなどの情報を得ることが困難になっている。また、ロシア兵が検問所で日常的に携帯電話をチェックするため、多くの人が携帯電話を使うことを恐れている。

占領地域を離れるには、住民はベラルーシを経由してからウクライナ政府の支配地域に入る必要があることが多い。ロシアの国内パスポートを持つウクライナの民間人はベラルーシに入国できるが、ベラルーシを出国してウクライナ政府支配地域へ向かうには、ロシアのパスポートが必要だと報じられている。聞き取りを行った住民全員が、移動中はウクライナのパスポートを隠さなければならなかったと語った。

男性はさらなるリスクに直面している。ロシアの書類を取得すると、ロシア軍への強制徴兵の対象となる恐れがあるためだ。占領地域の民間人に敵対国の軍隊での服務を強制することは国際人道法に違反し、戦争犯罪にあたる。

3月にオレシュキから逃れたある住民は、ロシアのパスポートを申請することを罠だと表現した。「すぐに軍の徴兵事務所に送られます。そして[ロシア軍への]動員のリスクにさらされるのです。」

一部の住民は、親族や隣人が残っているのは、移動するお金がない、行くあてがないから不安、あるいは国内避難民に対するウクライナ政府の支援が不十分だと考えているためだと語った。

ロシアとウクライナは、民間人の避難を可能にするための戦闘行為の一時停止の可能性について協議を続けている。双方は国際法上の義務を順守し、戦闘の影響を受けた地域から離れることを望む民間人に、安全かつ自発的な通行を提供すべきである。ロシアの占領当局は、民間人の出発を恣意的に妨げたり、ロシアのパスポートやその他の書類の取得を出発の条件としたり、ウクライナ人を強制徴兵の危険にさらしたりしてはならない。

ロシア軍とウクライナ軍の双方は、対人地雷その他の被害者作動式の爆発装置の使用を直ちにやめ、効果的な警告の発出、汚染地域に関する情報の共有、地雷リスク教育の提供を含め、地雷や爆発性戦争残存物から民間人を守るために実行可能なあらゆる措置を講じるべきである。

「占領下のヘルソン州の民間人は、望むならば安全に離れることが認められるべきである」とゴルブノワは述べた。「残る人々には、生き延びるために必要な食料、医薬品、基本的なサービスを含む人道支援へのアクセスが保障されるべきである。」

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