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日本政府がミャンマー国軍によるODAの軍事転用を確認

人道支援以外のODAは停止すべき

A Myanmar protester raises three-finger salutes during a rally to mark the second anniversary of Myanmar's 2021 military coup, outside Myanmar’s embassy in Tokyo, February 1, 2023. © 2023 Issei Kato/Reuters

外務省は4月26日、日本政府が供与した旅客船2隻について、昨年9月にミャンマー国軍がラカイン州で兵士や武器の移送のために軍事利用したことが確認された、と発表した。

外務省報道官は、日本政府は今回の誤用と国軍に抗議し、「こうした事態の発生に対する遺憾の意の表明」した上、「再発防止を徹底する」と回答した。

2022年10月、ヒューマン・ライツ・ウォッチはミャンマー当局の文書をもとに、日本政府が2017年から2019年の間に供与した旅客船3隻のうち2隻を利用し、100人以上の軍人や物資をラカイン州ブティダウンに移送したと報告。国軍は同地域で少数民族武装勢力アラカン軍と戦闘中だ。日本政府は、9月の現地報道を受けてから、国軍側に事実確認を試みていた

ミャンマー国軍が2021年2月1日に軍事クーデターを起こして以来、政治囚人支援協会(AAPP)によると、治安部隊は3,400人を殺害、21,000人を逮捕し、17,000人以上が現在も拘束されている。ここ数週間、国軍は数十名の民間人が殺害されたザガイン管区での空爆や、日本政府が支援した病院が燃やされたマグウェ管区での地上攻撃を実行した疑いがある。3月には、国軍が占領したシャン州の町で22人が殺害された。遺体を調べた検視官によると、多くの被害者に拷問の痕跡があった。

また、ミャンマーの治安部隊などはクーデター前から、ラカイン州の少数民族ロヒンギャ・ムスリムに対して「人道に対する罪」やジェノサイドの行為に値する人権侵害を犯してきた。その結果、大勢のロヒンギャが隣国バングラデシュに避難し、現在も100万人近くが劣悪な難民キャンプでの生活を余儀なくされている。さらに、ラカイン州には約60万人のロヒンギャがおり、治安部隊による迫害や暴力、移動の制限、不十分な食料、医療、教育などに晒されている。

日本政府は、ミャンマー国軍による現在進行中の悪質な人権侵害を見れば、国際法を遵守するという国軍の約束が守られないことはよく分かるはずだ。

日本政府の生ぬるい対応は、国軍をつけ上がらせるだけでなく、ミャンマーの人びとの間で日本の評判を下げるだけだ。日本政府は、人道支援以外のODAを停止して、国軍幹部や軍系企業に標的制裁を科すべきだ。

Correction

This article was updated to reflect that Human Rights Watch did not first reveal the September 2022 incident but contributed to reporting following earlier local media reports.

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