日本の参議院は12月5日に、新疆ウイグル自治区、チベット、南モンゴルや香港などで起きている人権侵害に焦点を当てた決議案を採択した。決議案は中国政府を名指ししなかったものの、事実上中国政府に対して「深刻な人権状況について、国際社会が納得するような形で当該国政府が説明責任を果たすよう」強く求めた。また、日本政府に対して「国際社会と連携して深刻な人権状況を監視し、救済するための包括的な施策を実施」すべきとした。
今回の決議案は衆議院が今年2月に採択したものとほぼ同じ内容である一方、中国政府の人権侵害に対する日本政府の姿勢が徐々に強固になっているあらわれでもある。昨年、日本政府は各国政府と共に中国政府による人権侵害を非難する声明などに賛同し、今年初めには北京2022オリンピックの開会式に政府高官を送らなかった。
また、日本政府は今年10月、国連人権理事会で国連人権高等弁務官事務所が発表した報告書について討論を呼び掛ける決議案に賛成を表明。8月に発表された同報告書は、中国当局がウイグルやその他のテュルク系少数派に「人道に対する罪」を犯している可能性を記録したものだ。しかし同決議案の採択には、2票足りなかった。さらに、岸田文雄首相は今年11月に習近平国家主席と会談した際、「中国における人権」について日本政府の立場を「改めて」申し入れた。
日本政府がこうして中国政府による人権侵害を取り上げることは重要かつ「人権外交」の宣言と一致する動きである。しかし、日本政府にはまだできることがある。まず、国連人権高等弁務官のフォルカー・トュルク氏が今後も中国の人権状況をモニタリングや報告した上、8月の報告書の提言を実施するよう働きかけるべきだ。同時に、中国政府が国連の人権メカニズムを弱体化させないよう動くべきである。
また、日本政府は中国政府の人権侵害から逃れてきた難民などにより充実した支援を提供すべきだ。こうした動きを取れば、中国を含む世界の人権状況に対する日本政府の姿勢が大きく変わったことを示せるだろう。