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Nujeen Mustafa, a Syrian disability and refugee rights activist who fled bombing in Aleppo, placed flowers on a Memorial to the Unknown Civilian before the endorsement of the new political declaration on the use of explosive weapons in populated areas in Dublin, Ireland, on Nov. 18, 2022.  © 2022 International Network on Explosive Weapons

80カ国以上が先週、武力紛争下の民間人(文民)に対する最大の脅威の一つである、人口密集地における爆発性兵器(EWIPA)の使用に対処するための新しい国際的な公約に賛同しました。爆発性兵器には、航空機が投下する爆弾、大砲、ロケット弾、ミサイルなどがあり、都市、町、村落での使用により、毎年世界中で何千人もの民間人が犠牲になっています。

11月18日にダブリン城で行われた式典で82カ国が署名したこの政治宣言は、参加国に対して、人口密集地における爆発性兵器の使用がもたらす壊滅的な人道的影響を防止、修復するための追加措置を取ることを公約させることで、既存の国際人道法のさらなる遵守を求める以上のことを成し遂げました。

採択式が無事実現したことは賞賛に値します。しかし、それはまた新たな段階の作業がはじまったことも意味しています。各国政府、国際機関、市民社会組織は今後、この宣言の普遍化、解釈実施に焦点を当てることが求められます。

民間人保護に関する新たな政治宣言

この宣言は、法的拘束力はないものの、人道的な軍縮を進め、武力紛争下の人的損害を抑制する取り組みにとって画期的なものです。この宣言では、爆発性兵器の使用を制限する国際基準が規定されています。また、直接的、間接的、あるいは反響的な効果を生じさせる戦争の方法がもたらす被害を軽減しうる、軍事訓練の実施、ならびに国の政策と実践の変更とを求めています。また、被害者支援、データの収集と共有、フォローアップ会議に関する公約も含まれています。

この宣言は、アイルランドが主導した3年間のプロセスの成果です。世界各地の国が署名しており、武力紛争の影響下にある国や主要な軍事大国も参加しています。世界の武器輸出国上位8カ国のうち、米国、フランス、ドイツ、イタリア、英国、韓国の6カ国が、またNATO加盟国30カ国のうち24カ国が参加しています。

ウクライナは、この宣言の精神と原則への支持を会議の場で表明しましたが、ロシアとの戦争が終わり、自国領土の主権を回復してからでなければ、この文書に署名することはできないと述べました。

爆発性兵器がもたらす被害

人口密集地における爆発性兵器の使用は、攻撃された時点で、またその後も長期にわたり、民間人に大きな犠牲を強います。兵器の爆風と破片は、広範囲の民間人に被害を及ぼし、精神的トラウマを負わせます。Action on Armed Violenceによると、爆発性兵器が人口密集地で使用された場合、死傷者に占める民間人の割合は平均90%です。

電力、水、衛生設備などの文民インフラに被害や破壊がおよぶと、紛争終結後も、医療や教育などの基本的なサービスの供給が妨げられます。そして、こうしたサービスがないことは、教育を受ける権利や、質の高く、利用しやすく、アクセス可能な医療を受ける権利などの人権を侵害することになるのです。

爆発性兵器の使用は、環境被害も生じさせます。例えば、工業施設が爆撃や砲撃にさらされれば、大気や水源に有害物質が放出されます。爆発性兵器は、紛争後も長く残存します。攻撃そのものがもたらす死亡と負傷の脅威だけでなく、こうした反響的な効果によって、大量の避難民が生じることなります。

こうした結果はすべて、爆発性兵器が広域に効果を及ぼす場合、つまり、その効果が広範囲に及ぶ場合に悪化します。爆発性兵器がこうした効果をもたらすのは、爆風や破片飛散の半径が広い場合、精度が低い場合、一度に多数の弾が発射される場合です。今回の政治宣言は、これらの要因が「文民および文民物への壊滅的なダメージ」のリスクを高めると認識しています(パラグラフ1.2)。

ヒューマン・ライツ・ウォッチなどの団体は、アフガニスタン、アルメニア、アゼルバイジャン、ガザ地区、イラク、リビア、ソマリア、スリランカ、シリア、ウクライナ、イエメンなどで、近年の武力紛争で爆発物がもたらす直接的・間接的効果を記録してきました。

新たな挑戦の始まり 宣言の実施

各国が宣言の文言を行動に移すにあたっては、文民保護強化という宣言の目標に忠実であるべきです。ヒューマン・ライツ・ウォッチと、私が所属するハーバード・ロースクール国際人権クリニックが共同で最近発行した報告書『文民を保護する』では、宣言の主要なコミットメントのうち複数を検討し、人道的観点から解釈しています。内容の一部を以下に紹介します。

宣言の中核をなし、最も議論されている条項は、各国に対し「人口密集地における爆発性兵器の使用について、それが文民や文民物に危害を生じさせることが予想されうる場合、その制限または抑制を適切なものとすることなど、文民への危害を回避することに資する政策と慣行」(パラグラフ3.3)を採用するよう求めるものです。私たちは他の団体ともに、広範囲に効果を及ぼす人口密集地における爆発性兵器の使用は、そのような兵器による被害が常に予想されうることから、各国がその使用を「抑制」ことが「適切」であると主張します。その上で、各国は人口密集地におけるあらゆる爆発性兵器の使用を「制限」すべきです。

さらに、パラグラフ3.4に基づき、各国は攻撃の計画・実行に際して、人口密集地における爆発性兵器の使用がもたらす、直接的及び間接的効果を考慮すべきです。なぜなら、その効果は、宣言がいう合理的に予見可能であるというレベルに達しているからです。

爆発性兵器の使用による人道的影響を修復するには、包括的な被害者支援措置が必要であり、これも宣言の重要な要素です(パラグラフ4.5)。被害者支援は、被害を受けた当の本人、家族、コミュニティに提供されるべきであり、さまざまな形態でなされるべきです。支援は、統合的で、インクルーシブで、ジェンダーにセンシティブでなければなりません。

データの収集と共有は、人口密集地における爆発性兵器の使用による被害を防止、修復するのに欠かせません。被害に関する正確で深い理解があるからこそ、教訓を伝え、必要とされる被害者支援の種類を特定し、国際的な協力と支援を促進し、モニタリングとコンプライアンスを促進することができるのです。

各国には、爆発性兵器の効果範囲に関する情報だけでなく、武器や標的に関する作戦データを収集・共有することを明確にすることが求められます。いずれも宣言の目標を達成するために不可欠です。宣言は、「実行可能かつ適切な場合」(パラグラフ4.2)について、データを収集・共有すべきとしていますが、各国は、このただし書きを透明性回避の口実にすることなく、データの収集・共有が実行可能であることを確認し、さらなる被害をもたらす危険がない限り適切であるとするよう努めるべきです。

最後に、各国は定期会合の開催など、宣言のフォローアップ作業に関与するというコミットメントを守るべきです(パラグラフ4.7)。一連の会合は、政策、実践、宣言の解釈について意見を交換し、進捗の最新情報を提供し、収集したデータを共有し、実施を促進するうえでなくてはならない機会です。このプロセスをこれまで特徴づけてきた包括性を維持することは、議論の価値を高めることになります。

今回のダブリン会議では、ノルウェーが2024年に宣言の次回会議を開催することが発表されました。まだ先のことに思えるかもしれませんが、それまでに宣言の規定をどれだけ実現できるかが、最初の大きな試金石です。人口密集地における爆発性兵器の使用がもたらす人道的影響への対処は確かに困難なプロセスです。しかし、宣言に署名した各国は、その期日、そして特に文民の生命を念頭に置いて、効果的かつ効率的にコミットメントを実現するよう努力すべきです。

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