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ベラルーシ選手の窮状 五輪の課題を浮き彫りに

国際オリンピック委員会は人権政策を導入すべき

Krystina Timanovskaya, of Belarus, runs in the women's 100-meter run at the 2020 Summer Olympics, Friday, July 30, 2021.  © 2021 AP Photo/Martin Meissner

2021年8月1日(日)、ベラルーシの陸上競技選手クリスティーナ・ティマノフスカヤ氏は、政府当局による帰国命令を拒否し、羽田空港で保護を求めた。その後、ポーランド政府が亡命受け入れを表明したと伝えられる。

女子陸上200メートル走の選手であるティマノフスカヤ氏は、Instagramの投稿でコーチ陣を批判したことから、ベラルーシに戻れば身の危険があると感じたと言う。コーチ陣から相談されることなく、トレーニングを積んだことがない400メートルリレーに登録されたことが批判の理由だ。ティマノフスカヤ選手が置かれた窮状は、政治や人権侵害をスポーツから切り離すことができない顕著な例と言える。また、国内オリンピック組織委員会が、強圧的政府を支援する例でもある。

ベラルーシでは、2020年8月9日に行われた大統領選挙でルカシェンコ大統領が6選を果たしたと主張したことに対し、不正選挙だとして未曾有の大規模抗議行動が起きた。おおむね非暴力的に行われてきたこの抗議行動が始まって以来、デモ参加者、ジャーナリスト、人権活動家、野党勢力などは嫌がらせを受けたり、投獄されたりしている。スポーツ選手たちも例外ではない。1994年から大統領の座にあるアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、2020年選挙も勝利を宣言した後、今もその座にとどまっている。

政府の報復にさらされるベラルーシのスポーツ選手を擁護する独立団体「ベラルーシ・スポーツ連帯基金」が設立されたが、ベラルーシ政府は4月、同基金に対して、刑事事件をでっち上げている

ベラルーシでは、スポーツは政府が国民を統制する重要な手段である。ヨーロッパ競技大会のようなプロパガンダ・イベントを開催したり、政治指導者の後ろにスポーツ選手を並ばせたりしている。ルカシェンカ大統領は23年間、ベラルーシ国内オリンピック委員長を務めており、2月に退任を余儀なくされたが、息子のビクトルが後任に就いた。

ルカシェンカ氏が長年にわたって国内オリンピック委員会を支配してきた結果、オリンピックスポーツは、ベラルーシ内外でスポーツ選手を威嚇し、沈黙させるために利用されてきた。

国際オリンピック委員会(IOC)は、2020年に人権戦略を公表した。だが、深刻な人権抑圧が行われているなかで、北京冬季五輪大会が半年後に迫っているにもかかわらず、この戦略に沿って行動していない。

コーチや連盟関係者による、選手へのあらゆる種類の嫌がらせや抑圧に対抗するには、人権政策がどうしても必要だ。ティマノフスカヤ選手をはじめとするスポーツ選手は、競技者になったからといって人権を放棄しているわけではない。その人権には、表現の自由や移動の自由も含まれている。

IOCは、オリンピックは政治的なものでないと口にするのを止めるべきだ。そうした振る舞いこそがスポーツ選手を危険にさらしかねない。IOCは、人権改革を早急に行い、オリンピック憲章に人権を追加して、各国政府が、誰であれ耐え忍ぶべきでない圧力を選手に掛けることを止めさせるべきである。

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