(東京)―大手グローバル企業は日本でのLGBT平等法の成立を支持していると、LGBT法連合会(J-ALL)、アスリートアライ(Athlete Ally)、オールアウト(All Out)、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。同法はレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー等(LGBT)の人びとを差別から守ることを目的とする。世界でLGBTプライド月間(6月)がスタートする中、#EqualityActJapanの呼びかけによる「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」には、コカ・コーラ、デロイト、EY、インテル、マイクロソフト、PwC、セールスフォース、ペプシコ、セガサミーなどの大手企業が賛同している。
日本政府に対して2021年6月中旬に閉会予定の通常国会での法案可決・成立を求める国内外での動きがあるが、これら大手企業はその動きに加わることになる。
「『ビジネスによるLGBT平等サポート宣言』に賛同する企業は、日本でのLGBT差別の撤廃を明確に訴えている」と、LGBT法連合会の五十嵐ゆり理事は述べた。「LGBT平等法を今すぐ成立させることは、日本政府の責任である。」
この3月、LGBT法連合会、アスリートアライ、オールアウト、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国際署名キャンペーン「#EqualityActJapan 日本にもLGBT平等法を」に内外から寄せられた106,250筆の署名を政権与党の自由民主党など各政党に提出し、日本でのLGBT等の人びとへの差別などの人権侵害を防止するLGBT平等法の導入を要請した。各団体は7月23日に開催される東京2020大会前の法案成立を目指している。
「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」は「性的指向や性自認に基づく差別を禁止し、誰もが平等に扱われるインクルーシブな職場・社会づくり」に貢献する法改正を求めるものだ。賛同企業は性的指向にかかわらず人は平等に取り扱われるべきとしてLGBT平等法の導入を支持している。
自民党は4月に、今国会でのLGBT法の成立を目指すとした。自民党の原案には差別禁止の文言はなく理解促進を強調するのみだったが、与野党協議ののち、法律の目的と基本理念に「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識の下」という表現を盛り込むなどで合意し、内容は前進した。
自民党が今回の法案を党内で了承し、国会で法案が可決・成立されれば、日本で初めてLGBT等の人びとの人権に関する国レベルの法律が成立することになり、日本でのLGBT等の権利に関する画期的な出来事になる。
現在、日本初のLGBT平等法の制定を求める企業の多くは、LGBTI等の人びとの平等とインクルージョンを世界的に加速させることを目指す「世界のLGBTIの平等に向けたパートナーシップ(PGLE)」に参加する。国連人権高等弁務官事務所、世界経済フォーラム、大手企業と連携する持続可能なビジネスの専門家ネットワークであるBSRのイニシアティブとして、2019年1月に設立された。
PGLE事務局を務めるBSRアソシエイト・ディレクターのサラ・フセイニは「市民社会と協力して日本政府にLGBT平等法の採択を促すことで、民間企業はLGBTI等の人びとの平等とインクルージョンを支持するという強いメッセージを発信している」と述べた。「企業は、LGBTI等の従業員やステークホルダーのためのアドボカシーについて、特に法律などの規制により従業員の権利が損なわれている国では、きわめて重要な役割を担っている。」
日本には現在、LGBT等の人びとを差別から保護する法律がない。最近発表された先進国におけるLGBTIに関する法整備状況データによれば、日本はOECD加盟国35カ国中ワースト2位である。
「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」は「LGBT等の人びとの権利を守り、日本が真にビジネス分野も含めた公正な社会であることを示すためにも、日本にはLGBT平等法の導入が必要です」と訴える。