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スリランカ:画期的な国連決議が法の裁きをうながす

人権活動家に対する政府の報復に懸念

In this April 6, 2015  file photo, Sri Lankan ethnic Tamil women sit holding placards with portraits of their missing relatives as they protest out side a railway station in Colombo, Sri Lanka. © AP Photo/Eranga Jayawardena, File

(ニューヨーク)–スリランカに関する国連人権理事会の決議は、人権侵害の被害者が情報・説明責任・法の裁きを手にする一助となる勝利だ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。国連とその加盟各国は、スリランカのゴタバヤ・ラージャパクサ大統領に対し、当該決議のための運動に携わった活動家らに報復するようなことがあれば、深刻な結末が待っていると念を押すべきだ。

2021年3月23日に採択された決議46/1は、スリランカで起きた国際犯罪の証拠を、将来の訴追に備えて収集・分析・保存するための強力な説明責任プロセスを新たに設置するもの。スリランカ政府はこの決議に激しく反発しており、ここ数カ月は人権活動家らに対する脅迫や嫌がらせの報告が多数あがっていた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュネーブ代表ジョン・フィッシャーは、「国連人権理事会の画期的なスリランカに関する決議は、法の裁きが否定されるようなことがあれば、国連が代わって残虐行為に対する説明責任に向け行動することを示した」と指摘する。「スリランカがそうだったように、政府が国際法の義務を尊重しない場合は、人権理事会が今回のような実質的措置をもって対応することが必要不可欠だ。」

人権侵害被害者・犠牲者の家族は、愛する人に何が起きたのかを知りたい、加害者の責任を問いたいと、何年もの間苦しんできた。

当該決議は、歴代のスリランカ政府が法の裁きおよび説明責任の実現を怠ったと結論づけたミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官による1月の痛烈な報告に応えるかたちで採択された。 決議をもとにスリランカで起きた重大な人権侵害または国際人道法違反の「情報および証拠を収集・統合・分析・保存」し、かつ「被害者および生存者を擁護し、管轄権を有する加盟国などにおいて、関連する司法手続きほかを支援」するため、国連人権高等弁務官事務所内に専用部門が新たに設置される。

説明責任をめぐる進展がほとんどないまま多くの年月が過ぎたが、今回の措置により、スリランカで起きた国際犯罪に対する法の裁きの実現に近づいた。国連人権高等弁務官は、18カ月後に「説明責任を推進するためのオプション」を含む報告書を人権理事会に提出することが義務づけられている。

また、1月の報告書でバチェレ人権高等弁務官は、「人権状況の悪化ならびに今後の人権侵害リスクの大幅な高まりに関し、明らかな初期の兆候がみられる」と警告。2019年11月に政権の座について以来、ラージャパクサ大統領の政府は、差別的な法でぜい弱な少数派を標的にし、被害者団体や人権活動家、市民社会を新たな恐怖と威嚇の風潮にさらしてきた。

ラージャパクサ現大統領は2005〜15年にかけて、兄マヒンダ・ラージャパクサ(現首相)政権で国防長官を務めた。2009年に終結したスリランカ内戦中に、政府軍と分離主義派タミル・イーラム解放の虎(LTTE)は、数多くの戦争犯罪および人権侵害を犯した。ラージャパクサ兄弟および現職の政府高官も、とりわけ内戦の最終局面の数カ月間に戦争犯罪に関与した疑いがもたれている。政府はまた、超法規的殺人や強制失踪といったその他の重大な人権違反をめぐる説明責任の実現を阻止してきた。

決議を通過させた主要国の英国、カナダ、ドイツ、マラウィ、モンテネグロ、北マケドニアは、スリランカにおける人権と説明責任を支持し、重大な国際法違反に対する法の裁きを推進することで人権理事会の信頼性を後押ししてきた。人権理事会加盟国のうち全部で22カ国が賛成票を、11カ国が反対票を投じ、14カ国が棄権した。これまでに40カ国超が当該決議に協賛し、今後も協賛への参加は可能だ。

決議に賛成または協賛した国の中には、米国やEU加盟国といったスリランカ最大の貿易相手国も含まれる。 導入したのはスリランカ最大の直接投資国である英国だ。これら政府は、少数派の権利や宗教的権利の尊重、被害者団体や人権活動家に対する脅迫・威嚇の停止など、人権保護をめぐり圧力をかけるため、引き続きスリランカに対する影響力を行使していくべきだ。

国連加盟国は、重大な違反の責任を負うとされる者に的を絞った制裁措置を発動したり、普遍的管轄権の原則のもと、自国内の裁判所で国際犯罪をめぐる法の裁きを追求するなどして、バチェレ人権高等弁務官の勧告が確実に実行されることを保障する必要がある。

フィッシャージュネーブ事務所代表は、「人権理事会の決議は、おそろしい犯罪に対する法の裁きを実現するための重要な一歩だが、今にちスリランカで起きている違反行為、そして今後の人権侵害の明らかなリスクに引き続き焦点を当てていくことが肝要だ」と述べる。「被害者団体、市民社会、少数派ミュニティは、スリランカの人権を守るための持続的な国際社会の関与による支援と保護を依然必要としている。」
 

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