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ミャンマー:軍事クーデターは脆弱な民主主義への破壊行為

各国は被拘束者の釈放と民政回復の要求を

Soldiers at a blockaded road to Myanmar’s parliament in Naypyidaw during the February 1, 2021 coup. © 2021 Reuters

(ニューヨーク) 各国政府はミャンマー国軍に対し、直近の総選挙結果を尊重して権力を手放すよう一丸となって要求すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。軍当局は、活動家と国民民主連盟(NLD)幹部数十人を拘束して外部との連絡を断っており、拘束中に虐待を受ける可能性も懸念されている。

ミャンマー国軍は2021年2月1日、中央政府と州政府の文民政権指導部を拘束し、1年間の「非常事態」を宣言した。国軍はこの日早朝、首都ネーピードーでアウンサンスーチー国家顧問、ウィンミン大統領、その他数十人の政府高官を突然拘束した。2020年11月の総選挙に基づく下院議会の招集のため、ネーピードーに滞在していた。国軍はNLD幹部や民間活動家をネーピードー以外でも拘束し、電話網やインターネットを遮断した。

「ミャンマーの新軍事政権は被拘束者全員を即時無条件で釈放し、非常事態を解除し、正当に選出された国会を認めるべきだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムスは述べた。「国際社会はミャンマー国民の基本的自由と指導者を選ぶ権利を守るために協調して粘り強く行動するとともに、対象限定型制裁やその他の措置を実施すべきである。」

国軍は、昨年11月の総選挙期間中に選挙のやり方や投票に不正があったとの主張を、根拠を示すことなく繰り返してきた。そして、連邦選挙管理委員会(UEC)とNLDが、野党や民族組織、国軍が示す懸念に耳を貸さず、「職務を適切に遂行しなかっただけでなく、自由で公正かつ透明な選挙の実施を怠った」と主張している。選挙序盤には一部で投票不正が指摘されたものの、国内の選挙監視団は1月29日の共同声明で「選挙結果は信頼できるもので、大部分の有権者の意思が反映された」と述べた。

国軍は1月29日、政権掌握の可能性を否定しなかったが、その後に憲法を遵守すると発表した。2月1日、国軍はみずから起草した2008年憲法の条文に基づき、非常事態を宣言して国政三権を掌握した。国軍が支援する野党・連邦団結発展党のミンスウェ副大統領が、拘束されたウィンミン大統領の後任に就いた。ミンスウェ副大統領は臨時大統領として非常事態宣言の承認書に署名し、権限を国軍最高司令官ミンアウンフライン上級将軍に移譲した。国軍は1年間の非常事態の後、改めて総選挙を実施すると発表した。

当局は表現・情報・集会・結社の自由への恣意的制限を即時解除すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。あらゆる人には公の場に集まり、国軍の行動に非暴力で抗議する権利がある。当局はデモなどの抗議行動について、それを違法と見なすかどうかにかかわらず、実力で強制解散させてはならない。ミャンマー国軍には、過剰な実力行使によって非暴力の集会を弾圧してきた長い歴史があるため、活動家やジャーナリストをはじめ、軍政を批判する人びとの健康と安全を含め、抗議行動に参加する人びとへのさらなる人権侵害の恐れが懸念される。

軍事政権は国内の大半でインターネットと電話回線を切断するとともに、国営メディアで国軍が発表を行う前から3G携帯ネットワークなどの通信手段を制限した。国際法は、各国政府に対し、オンラインでの情報制限については、それがどのようなものであれ、法の定めによること、特定の脅威への必要かつ比例した対応であること、公共の利益に適っていることを求めている。当局は情報の流れを遮断したり、国民の政治的見解を表明する力を制限するために、広範で無差別なシャットダウンを行うべきではない。通信のシャットダウンを全面的に、あるいは部分的ですら続けていることで、ミャンマーは、インターネットの利用制限は必要かつ比例したものでなければならないとする国際人権基準に違反しているのである。

国軍最高司令官ミンアウンフライン上級将軍は、国軍による2017年のロヒンギャ・ムスリムへの「掃討作戦」での人道に対する罪だけでなく、カチン、シャン、ラカインなど民族的少数者に対する軍事作戦での戦争犯罪や人道に対する罪にも確実かつ直接的に関与している。

2月1日に軍が示した閣僚名簿にも深刻な人権侵害に確実に関与している人物がいる。軍政が国境問題担当大臣に任命したトゥントィウンナウン中将は、2013年にカチン州の司令官として民間人への戦争犯罪と深刻な人権侵害を指揮した。2020年から内務大臣を務めるソートゥット中将は、南部方面軍指揮官時代の人権侵害を理由に欧州連合(EU)の制裁リストに記載されていたことがある。新国防大臣のミャートゥンウー将軍は、2016年8月から、つまり2017年のロヒンギャに対する民族浄化作戦の展開中も含めて、国軍序列第三位の参謀長に就いている。

クーデターに対する国際的かつ多国的な協調行動として、国軍本体と幹部、国軍の資金源である巨大な持株会社に的を絞った経済制裁や、国軍への武器と装備品の禁輸措置などが実施されるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。関係各国の共同行動には、軍政がこうした措置を回避するためにすべきことの明確な一覧表が付されるべきだ。具体的には恣意的拘禁下にある全員の即時無条件釈放、非常事態以前に存在した民主的な機構と制度の回復、2020年11月の総選挙結果の受諾、上下両院の召集などである。

「中国、ロシア、日本などは、ミャンマーの人権、法による正義、責任追及(アカウンタビリティ)を促すための国際的な協調行動をこれまで長いこと阻んできた。しかし現下の情勢を受けて、そうした政策がなぜうまく行かなかったのかを改めて検討すべきだ」と、前出のアダムス局長は述べた。「国軍はロヒンギャへの残虐行為に続き、民主主義に対する言語道断の攻撃を行った。世界が一丸となって行動し、国軍を政治から完全に手を引かせ、ミャンマー国民の利益を何にも増して優先するよう、私たちは呼びかけられているのである。」

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