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東京新聞・中日新聞 2020年6月26日

今日で連載の最後となる。締めくくりはやはり、世界の人権システムを揺るがしている国=中国について書きたい。そして、中国政府が進める香港での「香港国家安全維持法」導入に対し、世界そして国連がとるべき行動を提言する。

中国政府は、新型コロナウイルスによる混乱のすきをついて香港の自由を奪おうとしている。香港の人々は、発言や抗議行動により重罪に問われる危険にさらされる。返還後最大の人権危機だ。

先週、先進七カ国(G7)外相が共同声明で「重大な懸念」を示し、中国に再考を強く求めた。力強い声明を歓迎するが、十分ではない。さらに一段進め、国連というグローバルな場で強力な対応が求められる。グテレス事務総長は、香港に関する事務総長特使を任命すべきだ。さもなくば、中国政府はさらに大胆な行動を続けるだろう。

特使は、同法の影響や施行の実態を、国際条約に基づいて監視して国連に報告する。中国政府要人と直接会うことも期待される。香港の人々と会うことも大事だ。違反があれば、次の国際的アクションを含む是正措置を国連に提案すべきだ。

グテレス氏を特使任命という英断に導くには、世界中の強力な支持が欠かせない。クリミア危機などで任命された例もある。日本政府には、特使任命に向けて世界を主導することを期待したい。

(ヒューマン・ライツ・ウォッチ日本代表)

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