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コロナと監視社会

日本政府が、スマートフォンの機能を使って新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した可能性を通知する「感染者追跡アプリ」の開発を進めている。人命と公衆衛生を守ることは最重要課題だ。

一方、公衆衛生の名の下に、不必要または過度な監視にならないよう慎重に行うことが肝要だ。歴史をひもとけば、非常事態対応として過剰な監視が導入され、ひとたび承認されるや何かと理由をつけて維持されることが多かった。プライバシーの過度な妥協は、移動・表現・結社の自由などの人権が損なわれる入り口となる。

各国もそうしたアプリを開発中。すでに使用中の中国やロシアなど、強権的監視体制を敷いている国が差別や弾圧を強める可能性もある。一方、ネットやスマホ技術に安定したアクセスを持たないマイノリティーらの健康と生活が脅かされる恐れも。構造的不平等が拡大するかもしれない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)を含む百以上のNGOは四月、独立した組織が監視し、人権侵害被害への保護措置があることなど、監視技術を使う際の八つの条件を提示した。国連も強力なデータ・ガバナンスの枠組みが重要と警告した。権利侵害がより少ない感染拡大との闘い方も評価すべきだ。デジタル監視技術の導入にあたり、日本政府には、世界の模範となるようなプライバシー重視を求めたい。

(HRW日本代表)

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