東京新聞・中日新聞 2020年1月31日

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ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャへの迫害を巡り、国際司法裁判所(ICJ)はジェノサイド(民族大量虐殺)の危機と認め、全員一致の判断で、迫害を防ぐあらゆる措置をとるようミャンマー政府に命じた。法的拘束力がある。

ミャンマー国軍は大規模な殺人、レイプ、放火など民族浄化に手を染め、約七十四万人のロヒンギャが隣国バングラデシュに逃れることを余儀なくされた。私たちヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)も難民女性らの聞き取りを行い、大規模なレイプの実態を明らかにするなどしてきた。

ICJの暫定命令を受け、ミャンマー政府に対する国際的圧力がさらに強まるだろう。国連安保理も迫害停止決議を採択すべきだし、各国政府もミャンマーへの働きかけを強めるべきだ。

日本はミャンマーに強い影響力を持つ。残念ながら迫害停止に向けた最近の国連決議ですべて棄権している。安倍晋三首相は昨年、迫害の責任を指摘されたミャンマー国軍の司令官と会談した。

私たちは小さなころから、困っている人に親切に、と言われて育った。世界でも特に危険にさらされているロヒンギャに対する日本政府の冷たい態度は、私たちの価値観に反する。恥ずかしい。

この立場は、外務省が自ら掲げる「人権外交」とも矛盾している。ICJ命令を機に、外務省は大きく方向転換すべきだ。

(HRW日本代表)