世界で深刻化する難民問題の解決策が模索されるとき、日本にはいっそうの貢献ができるのではないかという指摘がよくなされます。たしかに日本は、国連の難民機関の世界有数の拠出国です。しかし日本における難民申請者の認定や、タイやレバノン、ケニア、パキスタンなどで途方に暮れ、往々にして厳しい状況に置かれた難民の受け入れに関する貢献は非常に限られています。
私は先日東京を訪れた際、衆参両院の連立与党議員との複数の会合でこの問題を取り上げ、再定住についても話し合いました。気まずい雰囲気となったのは、私が第三国定住の受入国一覧と各国の受入者数を示したときです。他の先進国の中には千単位で難民を受け入れる国もある一方、日本は年平均20人にも満たないからです。
現政権はこれまでと同様に、日本は移民受け入れに積極的ではないとの立場を繰り返しています。しかしだからといって、難民受け入れに積極的であってはならないことにはなりません。日本は国連難民条約の締約国なのです。
最近になり変化の兆しはあります。現行の小規模な第三国定住プログラムはようやく2010年に始まったところで、2014年には継続も決まりました。今のところ対象者全員がビルマ出身で、ビルマ近隣国からの再定住です。昨年G7議長国を務めた際、日本は他国からの強い働きかけを受け、シリア人学生の受け入れプログラムを創設しました。この事業も年間30人の学生とその直近の家族のみが対象で、日本での進学の機会を得た幸運な人たちは少数です。最も弱い立場にある難民を保護したり、そうした人びとに恒久的な家を提供したりする再定住プログラムからは程遠いものです。
日本は、こうした前向きな道を引き続き歩むべきです。現在日本政府は、難民が短期間で自立することを求めていますが、受け入れ人数がわずかであることを踏まえれば、たとえば障がいを持つなど、弱い立場にあり、日本が対応するのにふさわしい難民を選んで受け入れることができるでしょう。
長期的には、日本はビルマ人以外のどの国の出身者を、どれくらい受け入れるのかを決めなければなりません。私がお目にかかった国会議員の先生方は、第三国定住の拡大に賛成し、年間100人以上の受け入れも可能ではないかと考えられていました。これはもっと野心的な目標に向けたささやかな一歩ではありますが、弱い立場の難民に焦点をあてることも含め、もし実現すれば、前進は可能だというメッセージを発することになるでしょう。