(ジュネーブ)― 国連人権理事会は2016年6月30日、「性的指向と性自認を理由とする暴力と差別からの保護」に関する決議を賛成多数で可決し、この問題を扱う独立専門家の任命を命じた。これは性的指向と性自認を理由とする差別と暴力にさらされかねない全ての人の人権にとって歴史的な勝利であると、人権団体グループは本日述べた。今回の決議は2011年と2014年の理事会決議の積み重ねの上にある。

United Nations Secretary General Ban Ki-moon addresses the 25th session of the Human Rights Council at the United Nations in Geneva, March 3, 2014.

© 2014 Reuters/Denis Balibouse

 
決議案は、コアグループのメンバーである中南米7カ国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、コスタリカ、メキシコ、ウルグアイ)、および41カ国の共同で提出された。

決議は賛成23票、反対18票、棄権6票で可決された。

「今回の決議はきわめて重要なものだ」と、スウェーデンLGBTQ権利連盟(RFSL)のミカ・グルジウノヴィッツ(Micah Grzywnowicz)氏は述べた。「これをきっかけに、トランスジェンダーとジェンダーに不一致な人びとが地域を問わず直面する具体的な人権侵害や困難に、国際的な注目を促したい。国際社会は、性自認を理由とした暴力や差別にさらされる恐れのある人びとに対し、その保護責任を果たすべき時に来ている。」

「今回の決議は歴史的なものである」と、ラテンアメリカ・カリブ海地域国際LGBTI連盟(ILGA LAC)のホセフィーナ・ヴァレンシア氏は                                                                                             述べた。「中南米諸国は、私たちの人権状況の改善に向けた共通の道筋を築く上でとても重要な役割を果たした。平等を目指した国際的な連帯と、各国の真剣な関与を誇りに思う。」

この決議は、国連人権理事会に決議採択と独立専門家設置を求める、世界151カ国の628にのぼる市民団体が展開した過去最高規模での共同キャンペーンに応える形で可決された。

「これらの約7割がグローバル・サウスの団体である点は強調しておくべきだ」と、マンティキトゥナ・ネットワーク(MantiQitna Network)のヤヒア・ザイディ(Yahia Zaidi)氏は指摘する。「これこそが国連に対しLGBTIの人権保護を訴える、地域横断型の迫力あるパワフルなメッセージだ。独立専門家は、性的指向と性自認を理由とするあらゆる人権侵害について保護の中心となる。専門家の存在により、草の根団体が複雑な国連システムをよりよく活用できるようになるだろう。」

任命される専門家は、既存の国際人権法の履行状況を評価し、ベスト・プラクティスと不足部分を明らかにし、性的指向と性自認を理由とした暴力と差別への認識を促し、各国政府をはじめとするステークホルダーと対話や協議を行うととともに、性的指向と性自認を理由とする暴力と差別への対処に向けた支援のためにアドバイスや技術的支援、能力開発、協力の提供を促進することになる。

「専門家の任命は、HIV対策で鍵となる集団、具体的にはLGBTコミュニティでのHIV蔓延をあおる暴力への反撃の切り札となるだろう」と、エスパス・コンフィアンス(Espace Confiance)のアラン・クラ(Alain Kra)氏は述べた。

「独立専門家の存在は、あらゆる人権活動家の取り組みを後押しするとともに、暴力と差別からLGBTコミュニティを守る手段を政府と国民が知る上で欠かせない」と、トンガ・レイチ協会(Tonga Leiti’s Association)のジョリーン・マタエレ(Joleen Mataele)氏は付け加えた。

文化相対主義の考え方を入れるための敵対的な修正案が複数可決され、本文に組み込まれたが、国際人権法の普遍的性格を肯定する決議の核心部分は変わらなかった。

「今日、国連は歴史的な一歩を刻んだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュネーブ・ディレクター ジョン・フィッシャーは言う。「国連専門家を設置することで、人権理事会は世界各地で性的指向や性自認を理由に差別される人びとが公式に意見を表明できるようにした。後戻りすることはできない。性的指向と性自認に関わらず、すべての人が暴力と差別を受けることのない世界を目指し、市民団体の仲間たちや新任の国連専門家と力を合わせることを心待ちにしている。」

 

賛成23

Albania, Belgium, Bolivia, Cuba, Ecuador, El Salvador, France, Georgia, Germany, Latvia, Macedonia, Mexico, Mongolia, Netherlands, Panama, Paraguay, Portugal, Republic of Korea, Slovenia, Switzerland, United Kingdom, Venezuela, Vietnam 

反対18票

Algeria, Bangladesh, Burundi, China, Congo, Cote d’Ivoire, Ethiopia, Indonesia, Kenya, Kyrgyzstan, Maldives, Morocco, Nigeria, Qatar, Russia, Saudi Arabia, Togo, United Arab Emirates

棄権6票

Botswana, Ghana, India, Namibia, Philippines, South Africa

支援団体:
Access Chapter
AIDES France
Amnesty International
ARC International
Clóset de Sor Juana AC
Egale Canada Human Rights Trust
Espacio de Mujeres Lesbianas Salvadoreñas por la Diversidad (ESMULES)
Federatie van Nederlandse Verenigingen tot Integratie van Homoseksualiteit - COC Nederland
Foundation for SOGI Rights and Justice (FORSOGI)
FRI, the Norwegian Organisation for Sexual and Gender Diversity
GALANG Philippines
Human Rights Law Centre
Human Rights Watch
Iranti-org
International Commission of Jurists
ILGA LAC, Asociación Internacional de Lesbianas, Gays, Bisexuales, Trans e Intersexuales para América Latina y el Caribe
International Lesbian, Gay, Bisexual, Trans and Intersex Association (ILGA)
Lesbians, Gays and Bisexuals of Botswana (LEGABIBO)
LGBT Denmark - the National Organization for Gay Men, Lesbians, Bisexuals and Transgendered People
MantiQitna Network
OutRight Action International
Pacific Sexual Diversity Network
Pan Africa ILGA
Proyecto Arcoiris, colectivo anticapitalista e independiente
Samoa Faafafine Association
Swedish Federation for LGBTQ Rights (RFSL)
TLF Share Collective – Philippines
Tonga Leitis Association