この1カ月の間に、私たちは自称「イスラム国」=ISISの手によるものとされる恐ろしいテロ攻撃の急増を目の当たりにしました。パリの虐殺はもとより、ベイルート、バグダット、アンカラの自爆テロ、シナイ半島上空でのロシア旅客機墜落と、政治目的のために一般市民を標的にした無差別暴力の激化に直面しています。

People hold hands to form a human solidarity chain near the site of the attack at the Bataclan concert hall in Paris

 

- Pascal Rossignol, Reuters 2015

卑劣なテロ行為を正当化できるものは一切ありません。どんな理由をテロリストたちが並べ立てようと、人命に重きを置いたもっとも基本的な人権の原理を侮辱するのがテロです。

ISISは一見したところ、人権運動が一般的に武器として用いてきた「恥をかかせる」という方法も、彼らには通用しないかのようです。しかしISISとて、メンバーを勧誘したり、支援体制を構築しなければならない事情は同じです。だからこそ私たちは、「女性の性的奴隷化」「些細な『罪』または『誤った』宗教・政治的背景を理由にした日常的処刑」「近代以前を思わせる厳格な戒律の押しつけ」を命ずるような政治支配の醜い現実を明らかにすることで、ISISに欠かせないリクルートなどの活動をもっと難しくすることができるのです。ISISの犯罪をつまびらかにし、ISIS上層部が考える「イスラム教」体制とは、こうした残虐性・非人間性をもとに成り立つものであるということを、世界中のイスラム教徒に伝えることができます。

ISISを食い止めるために、人権運動は、これまで以上にISISを調査報告する必要があります。ヒューマン・ライツ・ウォッチは日々、あらゆる人権侵害を調査・検証・非難しており、その対象にはISISだけでなく同様の組織をめぐる各国政府の対応も含まれています。こうして私たちは、世界が一丸となってISISの行為を非常に忌むべきものとして非難することを可能にする、そんな基本的価値を高めるのです。常々テロ行為のような逸脱を阻止する基本的権利や自由を守ることが、このとりわけ醜いテロとの闘いに不可欠であるといえましょう。

恐怖と衝撃のなかにあるこの瞬間、これらの問題に立ち向かう私たちは疑念を抱き、絶望を味わっているかもしれません。人権の基本原理への侮辱的な挑戦が行われた今であるがゆえに、その原則を貫き速やかに活動するという理由が以前にも増しているということを思い起こすのが肝要なのです。ISISが無視し続けている基本的人権。しかし人権は存在して当然ではありません。私たちの人権を守る闘いがもっとも重要性をおびるのはほかでもない、今回起きたような根深い問題をつきつけられた瞬間です。