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フランス:表現の自由への攻撃

シャルリー・エブド紙殺害事件には人権擁護で対応すべき

(パリ)フランス当局はパリにあるシャルリー・エブド紙編集部への凄惨な襲撃事件の実行者を訴追すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。当局はフランスのムスリムへの報復を防ぐとともに、人権の擁護を通じて広く事件に対処すべきだ。

風刺画で有名な同紙の編集会議が襲撃され、12人が死亡した。うち2人は警察官だった。十数人が負傷し、4人が重体となった。フランスにおける1961年以来最悪の殺害事件だ。

「今回の恐ろしい犯罪の狙いは表現の自由の制限にある。これは言論の自由を大切にする人びとへの攻撃だ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの西ヨーロッパ調査員イッツア・レクタスは述べた。「事件への対応は実行者を公正な裁判にかけるとともに、メディア関係者を暴力から、またムスリムを報復から守ることでなければならない。」

当局はサイード・クアシとシェリフ・クアシの兄弟2人を首謀者として特定した。警察は大規模な捜索作戦を展開している。1月8日朝、パリ市南部では1人の男が女性警官1人に発砲した。負傷したこの警官は死亡した。ベルナール・カズヌーヴ内相は、この事件がシャルリー・エブド紙襲撃事件と無関係のようだと述べた。

シャルリー・エブド紙は預言者ムハンマドの風刺画で何度も物議を醸しており、2006年にデンマークのユランド・ポステン紙が掲載したムハンマドを軽蔑的に描いた風刺漫画を転載したことでも知られる。シャルリー・エブド紙の事務所は2011年に放火され、スタッフはたびたび脅迫を受けている。警官1人が編集長のステファヌ・シャルボニエ氏の警護にあたっていた。この2人は1月7日の襲撃の犠牲となった。

シャルリー・エブド紙と警察官への恐ろしい攻撃に正当化の余地はないと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。人権法が定める表現の自由の権利の核には、人を不愉快にさせ、ショックを与え、当惑させる意見を表明する権利が含まれる。フランス当局は、他国の政府とともにこの自由を擁護・促進すべきである。ジャーナリストが職務を遂行できるよう安全を保障することもその一つだ。

襲撃事件の動画によると、武装した2人組は現場から逃走する際に「アッラー・アクバル」(アラビア語で「神は偉大なり」の意味)、「預言者ムハンマドの復讐を行ったぞ」と(これはフランス語で)叫んだ。フランス・ムスリム評議会フランス・イマーム会議議長は襲撃事件を非難した。

フランス当局にはムスリムらを報復から守る義務があると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。シャルリー・エブド紙襲撃事件以来、フランスでは複数のモスクが襲撃されている。カズヌーヴ内相はもちろんこれらの襲撃を非難した。1月7日夜、ル・マンではモスク1軒に手榴弾3発が投げ込まれた。うち1発が爆発したが、負傷者はなかった。報道によれば、同日夕方、フランス南部のポール=ラ=ヌーヴェルでムスリムの礼拝所1ヶ所が銃撃された。1月8日朝、ローヌ県ヴィユフランシュ=シュール=ソーヌで爆発があり、モスクそばのケバブ屋の外装が破壊された。負傷者はなかった。2013年5月にロンドン南部ウーリッチでイギリス人の兵士リー・リグビー氏が惨殺された後、同国でもムスリムへの攻撃が激増した。

マニュエル・ヴァルス首相が、襲撃後に憎悪、不寛容などが表れかねないと警告したのは正しい。フランス当局はムスリムなどへの報復を防ぎ、発生した事件のすべてを捜査すべきだ。当局は、全国にあるモスク、ムスリムの礼拝所など襲撃される可能性のある場所の安全性を評価し、必要に応じて警備を強化すべきだ。

当局が襲撃の実行者の捜索を続け、訴追することは当然だが、今回の事件を利用し、テロ対策を名目に人権状況を後退させる措置を新たに導入してはならない。

フランスはこの分野に関してすでに広範な権限を有している。2014年11月、国会はテロ対策法を新たに制定し、人権侵害への十分な歯止めがないまま、当局の権限をさらに拡大している。

この新法により当局は、テロ活動参加目的で海外渡航するか、テロ組織の活動場所から帰国後に治安の脅威となる恐れがあるフランス人の出国を禁じることができる。この法律はまた、「個人によるテロの企て」という新たな罪を創設した。定義が曖昧なため、違法と明記されていない行為でも違反に問われる可能性がある。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査によれば、広く定義された既存の「テロの企てに関連する犯罪行為」罪により、薄弱な状況証拠に基づく訴追が行われ、有罪判決が下されている。

この新法は、EU市民がイラクやシリアに渡航して「イスラム国」(ISIS)などに参加し、帰国後に襲撃事件を起こすことを防ごうというEU全体の政策の一部だ。イギリス議会で審議中の反テロ法案には、移動や家族生活、表現の自由の保護を脅かす恐れのある「外国人兵士」の増加抑制を目的とした新たな対策が盛り込まれている。ドイツ、オランダ、デンマーク、ノルウェーも、国籍剥奪や国民の移動の自由の制限を行う政策を実施または検討している。

ヴァルス首相は、シャルリー・エブド紙襲撃事件に関連して複数が逮捕されていることを認めた。容疑は現時点では不明だが、フランス当局はすべての被拘禁者の権利を完全に尊重するとともに、法律違反で訴追された者全員が、適正な手続きに関する権利を完全に享受できるようにしなければならない。

「衝撃と喪に覆われる今こそ、フランスは模範的な寛容を示し、自国が促進するさまざまな分野での自由を擁護すべきだ」と、レクタス調査員は述べた。「今回の襲撃により表現の自由が後退することは許してはならないが、他の人権についても同様だ。」

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