(ニューヨーク)スリランカ政府当局は、2015年1月8日の大統領選挙で有権者の安全・確実な投票を確保するとともに、国営メディアが現職側に悪用されるのを防ぐべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。現地の監視団体は、1月5日まで1ヶ月続いた選挙戦での暴力・脅迫行為を多数報告している。

選挙関連暴力監視センター(CMEV)は期間中に237件の重大事件、183件の軽微な事件があったことを明らかにした。さらに銃器による襲撃が22件も発生した疑いがあると報告した。監視団体側は、与党スリランカ自由党による国営メディアの不適切な使用も明らかにした。

「スリランカ当局は有権者、候補者、監視団体関係者が攻撃や脅迫、威嚇を受けないようにするために必要なあらゆる措置を講じる必要がある」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムスは述べた。「選挙戦の障害となった攻撃や脅迫が、投票日当日や開票作業でも続くことは許されない。」

1月5日、ラトゥナプラ県での集会では、野党・統一国民党の党員3人が正体不明の者たちから銃撃を受け、重傷を負った。これを受けて、野党の大統領候補者マイトリパラ・シリセナ氏は、防弾ガラスのついたての向こうから、増員されたセキュリティに囲まれて演説や集会を行っている。1月4日にはトリンコマリーで、与党の無届け事務所を閉鎖した選挙管理委員2人が襲撃された。容疑者2人が逮捕されたが、スサンタ・プンチニラメ(Susantha Punchinilame)副大臣が動き、まもなく釈放された。選挙関連の襲撃事件では容疑者が逮捕された事例もある。裁判所は1月6日、刑事事件の容疑者複数への逮捕状を発行した。

「スリランカでは長年、選挙関連の暴力が野放しになっている。選挙直前に数人でも逮捕されたことは前向きな動きだが、長年の懸念が払拭されたわけではない」と、前出のアダムス局長は述べた。

CMEVはまた、与党が「かつてない規模で国の資産や国営メディアを悪用している」と報告した。国営メディアは国民に対して、現職のマヒンダ・ラジャパクサ氏に投票するようあからさまに訴えており、選挙委員会は複数の報道機関に対し、現職の宣伝行為を報じないよう警告した。

選挙結果にかかわらず、選挙後に暴力事件が起きる深刻な懸念もあると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。選挙管理委員会など関係当局には、警察などの治安部隊が公平に機能し、国民の人権を尊重するようにすることが求められる。こうした配慮は北部と東部のタミル人地域などマイノリティ居住地域では特に重要だ。

「投票日当日とその後の治安部隊の動きは、スリランカの人権状況の行方を占う点で重要だ」と、アダムス局長は述べた。「自由で公正な選挙の実現という基本的な義務の実現が、同国の根深い人権問題を解決するうえで大切な一歩だが、誰が次期大統領になっても課題はやはり山積している。」