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スワジランドの人権状況はいっそう悪化しています。裁判所は人権派弁護士と新聞編集者の2人に2年の刑を宣告しました。最高裁判所長官への批判が罪にあたるというのです。

警察はトゥラニ・マセコ(Thulani Maseko)弁護士と日刊紙「ネーション」の編集者ベキ・マクブ(Bheki Makubu)氏を逮捕しました。逮捕劇は、ネーション紙がスワジランドの最高裁長官を批判したマセコ氏の署名記事2本を掲載した後のことでした。マセコ氏とマクブ氏は法廷侮辱罪に問われ、公判前と公判中に合わせて3ヶ月以上拘禁されていました。  

南部アフリカ開発共同体(SADC)と隣国の南アフリカは先頭に立ち、同国の政治危機を指摘する域内の意見を高めるとともに、同国での広範な人権侵害を終わらせるよう働きかけを強めるべきです。しかし域内では、今回の有罪判決をめぐって深い沈黙が支配しています。

マセコ氏とマクブ氏への有罪判決に驚く人は、仮にいてもほぼゼロだったでしょう。長年にわたり、スワジランドではムスワティ3世の絶対王政が続いています。1986年の即位以来、内閣・議会・裁判所の3権に絶対的な影響力が行使されています。現国王による支配の下で人権状況は劇的に悪化。法の支配はますます尊重されなくなっています。政党は一切禁止され、司法は崩壊寸前です。

スワジ当局は、批判に対して抑圧的で手荒なやり方で臨んでおり、政治批判や独立したマスコミ報道、非暴力の抗議行動を厳しく取り締まっています。スワジランドの問題を指摘しようとしたジャーナリストや活動家は、嫌がらせや暴行、恣意的拘束の対象となることが多く、ときには拷問を受けることすらあります。政府は2008年のテロ鎮圧法を悪用し、独立組織を「テロ」組織呼ばわりして攻撃しています。また民間組織の活動家には、執ような監視のほか、自宅や事務所への不法な家宅捜索を行うといった嫌がらせを行っています。

このような事態にもかかわらず、国際社会はなかなか腰を上げようとしません。今年6月、バラク・オバマ米大統領は、アフリカ成長機会法(AGOA)の対象となるアフリカ諸国のリストからスワジランドを公式に削除し、その理由として民主化の遅れと劣悪な人権状況を指摘しました。しかし域内の政府指導者は、同国の人権状況をほぼ放置しています。

SADCと南アフリカはスワジ当局に対し、集会・結社・表現の自由といった基本的自由を尊重し、政治参加の権利に関する法的規制と実際的な規制をともに撤廃するよう求めるべきなのです。まずはじめに、マセコ氏とマクブ氏への不必要な訴追を批判し、2人の無条件釈放を求めるべきです。

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