(ジュネーブ)国連人権理事会は、国連人権高等弁務官事務所に対し、スリランカ内戦終盤の数カ月で全当事者が行ったとされる戦争犯罪を調査することを求める決議を採択すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。決議に関する投票は今週実施の予定。

スリランカ政府は、タミル・イーラム・解放のトラ(LTTE)との内戦の最終局面で発生した、国際人権法と国際人道法に違反する行為について全国的な調査実施を求める過去の2つの人権理事会決議に誠実に対応してこなかった。内戦終盤では4万人もの民間人が犠牲になったとみられる。

「スリランカ政府が行動しない以上、かわって人権理事会が、法の下の裁きの実現に向けて行動する必要がある」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュネーブ・ディレクター、ジュリエット・デ・リベロは述べた。「スリランカ政府は虐殺行為の実行者を調査するどころか、皮肉なことに政府軍の責任を不問に付し、責任を問う者を激しく非難している。この決議を採択させることは、スリランカ内戦の被害を受けたあらゆる人に対し、その存在が忘れられていないことを伝える強いメッセージとなるだろう。」

現在検討中の決議案は、国連人権高等弁務官事務所に対し、紛争の両当事者が行ったとされる重大な人権侵害や関連犯罪について包括的な調査を実施した上で、不処罰を防ぎ、責任追及を実現するために犯罪事実を明らかにするよう指示するものだ。

26年に及んだスリランカ内戦は2009年5月にLTTE側の敗北で終結した。潘基文国連事務総長が任命した専門家パネルの報告書によれば、政府軍は、民間人への無差別砲撃、即決処刑、強かんなどの広範な人権侵害を行った。LTTE側は民間人を人間の盾にし、子ども兵士を使用し、逃げようとした家族を殺害した。

ナビ・ピレイ国連人権高等弁務官は今年2月の報告で、スリランカ政府が人権侵害に対処するための信頼できる全国調査を行わないことは「時間や技術的能力から説明できる問題ではもはやない。本質的には政治的意志の問題である」と述べた。

内戦終結から5年近くが経つが、政府は現在も「テロ防止法」など内戦時代の法律を政治目的で用いている。最近では、容疑のないまま2人の人権活動家が拘束される事件が起きている。人権侵害行為を公の場で問題にする人びとは嫌がらせや脅迫を受けており、政府系メディアの威圧的なキャンペーンにさらされている。

「今回の決議はスリランカにとり、国際的な懸念が高まる問題に向き合うための真の機会となる」と、前出のデ・リベロ・ディレクターは述べた。「スリランカはこの機会を活かして国連と協働し、紛争被害者が求めるもの、すなわち法による正義を実現すべきだ。」