(カブール)-タリバーンによる選挙運動員と選管当局への脅迫と暴力が、2014年4月5日に予定されている、アフガニスタン大統領選挙を損なう危険がある、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

タリバーンは3月11日付声明で、選挙を破壊するために「全力を尽くす」と共に「選挙に関係する全ての労働者、活動家、運動員、警備組織、事務所を標的にする」と宣言した。タリバーンはアフガニスタン政府に、モスクや学校など公共施設を投票所として使わないよう警告。こうした場所も攻撃目標になりうることをほのめかした。国際人道法は文民と民用物を標的にした、あらゆる攻撃を禁じている。

「タリバーンは暴力を用いて、アフガニスタン国民による新大統領選出を妨げると脅迫している。これは卑劣であり、同時に違法な行為だ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムスは指摘した。「こうした脅迫行為を踏まえ、アフガニスタン政府と治安部隊は、選挙運動員と有権者を保護するために必要なあらゆる措置を講じるべきだ。」

2009年大統領選挙と2010年総選挙の前および期間中、きわめて重大な暴力事件や脅迫のほとんどにタリバーンは関与していた。

4月5日の大統領選挙では、2001年以降のアフガニスタンで初めて、民主的なかたちで大統領の交代が実現する。アフガニスタン憲法の規定により、現大統領ハミド・カルザイ氏は再出馬ができない。ヒューマン・ライツ・ウォッチはこれまでも、アフガニスタン治安部隊が、選挙当日に十分な治安対策を行う能力があるのかについて懸念を表明していた。

選挙準備に関係して既に起きている暴力事件は以下の通り。

  • 3月12日、ナンガハル州で、銃を持った正体不明の男たちが、独立選挙委員会(IEC)の委員4人を拉致した。
  • 3月12日、ファーリヤーブ州北部で、銃を持った正体不明の男たちが、大統領候補アブドゥラー氏の選挙運動を行う高齢者3人を殺害した。3人は故アフガニスタン副大統領モハマド・カシム・ファヒム氏の葬儀から帰宅途中に射殺された。正体不明の犯人たちはまた、地域住民に投票しないよう警告した。
  • 3月10日、ヘラート市で、正体不明の犯人が、アブドゥラー氏の選挙事務所を狙って爆弾テロを行った。治安部隊員2人が死亡、選挙運動員4人が負傷。
  • 3月9日、ヘルマンド州で、銃を持った正体不明の男たちが、大統領候補グル・アグハ・シェルザイ氏の選挙運動員2人を負傷させた。
  • 3月5日、 クンドゥズ州 で、大統領候補のアシュラフ・ガニー・アフマドザイ氏が演説を予定していた会場の近くで、正体不明の犯人による爆弾テロ未遂事件が発生。
  • 2月19日、ナンガハル州で、選挙活動から戻る途中の大統領候補アブドゥラー氏を狙ったと思われる襲撃事件が起きた。タリバーンが犯行声明を出した。
  • 2月9日、サーレポル州コヒスタン区で、銃を持った正体不明の男たちによる襲撃があり、部族長老1人と大統領候補アブドゥラー氏の選挙運動員1人が殺害された。
  • 2月1日、ヘラート市で、銃を持った正体不明の男たちが、大統領候補アブドゥラー氏の選挙運動員2名を射殺した。

アフガニスタンで選挙監視を行う非政府系組織「自由公正選挙アフガニスタン基金」は、2月2日に選挙運動が始まって以降、選挙に関係した暴力と脅迫により、殺人事件7件、暗殺未遂1件、暴力あるいは強制力を行使するとの脅迫事件6件が起きたと報告している。3月4日に始まる州議会議員選挙の運動が熱を帯びるにつれ、脅迫事件や暴力事件も増加することが予想される。

「暴力を用いて選挙を頓挫させようとするタリバーンの脅しが、うまくいってはならない」と、前出のアダムスは語った。「タリバーンのテロ・脅迫戦術は、選挙の実施と次期政権を選ぶアフガニスタン国民の権利を、かれらがいかに恐れているかを如実に示しているのだ。」