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曹順利(ツァオ・シュンリー)氏が3月14日に亡くなった。享年52歳。曹氏は2013年9月、北京首都空港でジュネーブ行きの飛行機に乗ろうとしたところ警察に逮捕され、公の場から姿を消した。国連人権理事会の中国に関する普遍的定期的審査(UPR)に先だって開催される、国連の人権研修プログラムに参加の予定だった。

しかし氏が会場に姿を見せることはなかった。失踪から数週間経っても中国当局は一切消息を明らかにしなかったが、翌10月、氏は非合法集会罪で起訴された。容疑は後に挑発混乱引起罪に変更された。

中国政府当局者はこのところ「合法的な活動や、国際機構に参加したことで報復を受けることはない」「国民には、いかなる政府機関や公務員をも批判し、それらに対して提案を行う権利がある」「『人権活動家』弾圧なる問題は存在しない」と主張している。

これらの発言は、各国が今月16日の週にジュネーブで行う発言で集中的に取り上げられるべきだ。国連人権理事会の中国に関する普遍的定期的審査は現在山場を迎えている。

2013年を通して、ベテラン活動家の曹氏には特に注目が集まった。普遍的定期的審査に中国政府が提出する報告書について、真に独立した市民の意見を反映するよう求めたからだ。曹氏は複数の公開書簡を発表。また中国外務省前で座り込み、報告書起草作業について政府の透明性と、市民参加を求めた。そして拘束中の数カ月間、弁護士と家族は健康状態の悪化を訴えてきた。曹氏は2013年11月、刑務所の医師から両肺の肺炎などの病気を患っていると診断されている。

家族は治療のための仮釈放を認めるよう当局に繰り返し求めていた。しかし氏が昏睡状態になった2014年2月になってようやく、刑務所当局は氏の身柄を北京市内の病院に移送。すると今度は、警察が家族に対し、治療のための仮釈放を求めるよう圧力をかけはじめた。曹氏の健康状態が悪化した責任を免れることがねらいだった。警察はまた、危篤状態の曹氏を見舞いに病院を訪れた支持者5人の身柄を拘束した。

曹氏の事件に関して、当局は嫌がらせや恣意的拘束のほか、荒唐無稽で法的根拠のない訴追を行い、適切な医療への迅速なアクセスには難色を示し、拒否してきた。これらのことからすれば、中国政府が曹氏の死因について独立した信頼できる調査にすすんで応じるとは考えにくい。しかし氏が亡くなったいま、曹氏が命を賭して求めた透明性の実現に向けた闘いは、中国の人権状況に懸念を抱くものすべてに課せられた使命である。

中国は3月19日に人権理事会の場で、自国では人権が尊重されているとの疑わしい自説を展開するだろう。国際社会は同国政府に対し、曹氏の死亡に関する真相究明と、責任者の訴追実施を確約させなければならない。

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