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中国:著名な活動家の起訴を取り下げよ

許志永氏の起訴は 中国全土の市民活動抑圧を視野にいれたもの

(ニューヨーク)-中国政府は著名な活動家である許志永(Xu Zhiyong)氏に対する、政治的動機に基づく起訴を直ちに取り下げて釈放すべきである。同氏の公判は早くて今月28日にも開始される可能性があり、このタイミングが休暇シーズンで、世界の監視の目が緩むすきを狙ったものであることは明白である。

許氏(40歳)はこれまで長きにわたり、中国の一党支配体制を批判し、司法改革を提唱してきたが、今年4月に逮捕された。市民運動である「新公民運動(New Citizens’ Movement)」メンバーが複数の小規模デモを行ったことを受けて「公共秩序騒乱」罪に問われており、有罪となれば最長5年の刑が科されることになる。同氏に対する起訴状には、政府関係者の汚職に対するデモを組織したことや、子どもが地元の公立学校に入学できる権利を求める親たちの教育部(教育省)前デモを組織した、とある。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局局長ブラッド・アダムズは「習近平国家主席は腐敗撲滅を誓っているのに、それを指摘した許氏は逮捕されてしまった」と述べる。「許氏の容疑に対する証拠はどれも犯罪立証には役立たず、実際には、重要な社会的問題に対する平和的な抗議以上の何物でもないことを物語っている。」

北京郵電大学法学部講師の許氏は、国営放送の中国中央電視台(CCTV)から、中国で「10本の指に入る司法有識者」に選ばれている。2003年には、彼が共同で行った全国人民代表大会にあてた署名運動の結果、行政拘禁のいわゆる「収容と送還」制度が違憲であるとして廃止された。

許氏は2009年、脱税という不当な容疑をかけられて同僚とともに警察に身柄を拘束され、創設にかかわった法的支援団体「公盟法律研究センター(the Open Constitution Initiative)」を、強制的に解散させられた。2012年には、一党支配体制の制限の中でも市民社会を発展させる「新公民運動」の創設に携わった。

2013年4月に関係当局が許氏を自宅に軟禁。7月16日には身柄を拘束され、翌月2日に正式に逮捕された。12月4日に警察が当該事案を人民検察院に送検し、同月13日に刑法第291条に基づき、同氏は正式に起訴された。

許氏の起訴は、広範な「新公民運動」取締りの一環とみられる。運動は、公式な団体を立ち上げたりしない公民権運動で、政府関係者の資産公開や、出稼ぎ労働者の子どもの権利擁護などの市民権促進を提唱している。

関係当局はまた、社会問題に関心を持つ著名な投資家の王功権(Wang Gongquan)氏の身柄を、許氏と同様の容疑で9月13日から拘束しており、ほかにも50人超の活動家が中国全土で拘禁されている。すでに「新公民運動」のメンバー3名が12月3日に「不法集会」で裁判にかけられたが、判決はまだ出ていない。

北京市第一中級人民法院に対する許氏の起訴状は、同氏が2012年7月5日、「首謀者として」「教育部の前で100人超を組織・扇動し、横断幕を掲げながら騒いで、公安警察官による法執行に対し抵抗・妨害を行い、現場を重大な混乱に落としいれた」としている。

起訴状では更に、同氏ほかが「政府関係者の資産公開」問題を利用して「公共の場で多くの人びとによる集会を組織・画策した」と指摘しており、これらのデモ運動が不法であることを示している。

起訴状はデモ参加者による様々な行動について詳述しており、それらには「横断幕の掲揚やビラの配布」「拡声器の使用」「見物人の勧誘」「インターネット上への写真投稿」などが含まれる。これらの行為そのものはいずれも合法である。起訴状はデモ参加者が法執行者の解散命令に従わなかったともしているが、デモ現場にいなかった許氏との関係については何ら触れていない。

許氏の弁護人である張清芳弁護士は、警察への暴力や器物破損などもないままに、公けの秩序の妨害がなぜ「重大」といえるのか警察・検察も説明をしていない、と指摘した。

今回のデモ運動の前から、許氏のグループは、出稼ぎ労働者の子どもたちの公立学校への入学の許可を求める平和的な運動を何年も続けてきた。例えば、調査報告書の発表やチラシの配布、教育部関係者への再三の面会要請、そして提訴の試みなどである。

前出のアダムズ アジア局長は、「許氏の起訴は政治的なものだ。よってこの事案が公判段階に至れば、ほぼ確実に有罪判決となってしまう」と指摘する。「許氏事件は、許氏個人だけでなく、習近平体制下での市民社会の命運を決する試金石といえる。」

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