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イラン:実質的な改革 早急に実施を

ロウハニ新大統領に求められる改革アジェンダ

(ベイルート)- イラン新政権は、同国の悲惨な人権状況を改善するため、具体的な措置を取るべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは、新大統領ハサン・ロウハニ氏に宛てた本日付の書簡で述べた。書簡では、改革の必要な主要分野として、政治囚釈放から国連人権機関との協力に至る項目を挙げた。ロウハニ新政権は、4年の任期中にこれらの領域に対処すべきだ。

ロウハニ氏は2013年8月4日に、イラン・イスラーム共和国の第七代大統領に就任する。6月14日の大統領選挙で、「希望」と「中庸」を訴え、50.7%の得票で当選した同氏は、国民に対して、人権尊重に関する多くの公約を示した。当局による選挙結果発表後、多くの国民が街頭で当選を祝った。政治囚の釈放を求めるとともに、前回2009年の大統領選挙後に政府が行った、抗議運動への弾圧による死者を悼むスローガンを叫ぶ人の姿もあった。

「ロウハニ氏は大統領選で、個人の自由の拡大と人権尊重を公約し、変革を求めるイランの有権者の願いに訴えた」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ中東アドボカシー・ディレクターのタマラ・アル=リファーイーは指摘した。「国民から、必要な改革を進めるという任務を託された以上、氏は選挙公約が口先だけのものではないことを、大統領としての仕事で証明する必要がある。」

この書簡で、ヒューマン・ライツ・ウォッチはロウハニ氏と新政権に対し、以下の措置を取ることを強く求めた。

  • 政治囚の解放:政治活動家、市民活動家、ジャーナリスト、弁護士、人権活動家など数百人におよぶ、すべての政治囚を即時無条件に釈放し、釈放後は、ただちに非暴力活動に取り組めるようにすること。ロウハニ氏は、反体制指導者の自宅軟禁措置の終結も目指すべきである。
  • 死刑の執行停止(モラトリアム):死刑の執行を停止し、廃止を視野に見直しを行うこと。イランで死刑となる人の大半は、薬物密輸などの犯罪者だが、こうした犯罪は、国際法では、死刑判決を正当化するほどの深刻な犯罪とは見なされていない。また、法の適正手続き(デュー・プロセス)で多くの違反があり、死刑判決の正統性が疑われるものもある。消息筋によれば、ロウハニ氏が選挙で勝利してから、数十人の死刑が執行された。イランはこの数年、中国に次いで、世界第2位の死刑執行国である。
  • メディア規制の撤廃:報道とインターネットの自由を、規制ではなく、奨励する政策を実行すること。政権が優先して取り組むべきは、検閲に関する詳細な規程と、イラン国民が逮捕や拘束、有罪判決のリスクを冒さないように守るべき「警戒ライン」の撤廃だ。2013年6月時点で、イランでは50人以上のジャーナリストやブロガーが投獄されている
  • 学問の自由の拡大:アフマディーネジャード政権の過去8年間で設けられた、学問の自由への障壁を撤廃すること。具体的には、個人的意見を理由に解雇された、大学教員数十人の復職、大学構内で治安部隊が持つ影響力の制限、学生の活動を法に基づかずに監視する懲戒委員会の廃止、一部の専攻で登録学生の男女比を管理している時代に逆行したジェンダーに基づく政策の撤回、学生団体の活動再開の許可などが挙げられる。
  • 民間団体の自由な活動の保障:非政府組織に対する不要なプレッシャーを取り除き、独立系労働組合、イラン弁護士会、シーリーン・エバーディー人権活動家センター、イラン映画協会などの団体が、妨害なしに活動できるようにすること。
  • 女性の権利の尊重:女性問題を扱う専門部署を設置し、身分法などの差別的法規の改正に向けた国民対話を開始し、法律改正を目指す女性団体の取り組みを支援すること。ロウハニ政権はまた、産児制限策への規制を撤廃し、時代に逆行する、大学や公共の場でのジェンダーに基づく政策に反対し、厳しいドレスコードを守っていないと判断された女性に対する治安弾圧を停止すべきだ。
  • 少数派の権利保障:すべてのイラン国民に、民族や宗教に関わりなく、平等な法的保護を保障する政策を実施すること。民族的少数派や宗教的少数派は、政治参加、雇用、宗教的・社会的・文化的権利の実践において、法的かつ実質的な差別を、しばしば受けている。
  • 非人道的な取り扱いの廃絶要求:未成年犯罪者への投石や処刑など、非人道的な取り扱いと刑罰の禁止に関する、国内の議論を再活性化すること。
  • 国連人権機関との協力:国際機関に協力しない政府の態度を改めること。特にイランの人権状況に関する国連特別報告者のアフマド・シャヒード氏の訪問など、人権理事会の各種のテーマ別特別手続のアクセスを許可すること。2009年の普遍的・定期的レビューの審議に際して、国連総会と国連専門機関、加盟国が行った勧告を実施すること。勧告の多くが、2009年大統領選後の弾圧でのイラン人当局者による拷問と殺害について、責任追求を求めていた。

ロウハニ大統領と新政権はまた、ヒューマン・ライツ・ウォッチがイランを訪問し、これらの問題を議論することを許可すべきである。「私たちは、貴殿の大統領就任が、国際人権機関との協力に向けた新たな意志表明を、イラン政府側が行ったものであることを心から望んでいます」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチは書簡で述べた。

自由で公正な選挙を疎外する、重大な規制や人権侵害が行われたにもかかわらず、ロウハニ氏は大統領に選出された。今年の選挙では、投票者による投票所での不正や事件について、深刻な事例は報告されていない。

「効果的で責任ある政権指導には、すべてのイラン国民の権利保護が不可欠だ」と、前出のアル=リファーイーは述べた。「ロウハニ氏が、イランをこの8年にわたる難局から救おうとするならば、政府による過去の、また現在進行中の人権侵害に対処しなければならない。」

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