Sudanese President Omar al-Bashir arrives at the African Union headquarters in Addis Ababa, Ethiopia on January 25, 2013.

© 2013 Reuters

(ニューヨーク)-チャド政府はスーダンのオマル・アル・バシール大統領を逮捕するか、チャド入国禁止措置を取るべきである。

報道によると、バシール大統領は2013年3月18日、サヘル・サハラ諸国国家共同体(Community of Sahel-Saharan States)の「グリーンベルト会議」出席のため、チャドを訪問するとされている。バシール大統領は、スーダンのダルフール地方でのジェノサイド罪・人道に対する罪・戦争犯罪の容疑で、国際刑事裁判所(以下ICC)から指名手配されている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの国際司法上級顧問エリーゼ・ケップラーは、「多くのアフリカ諸国は、バシール大統領を逮捕するか自国訪問を受入れないという立場を取っている。チャド政府もこれにならうべきだ」と指摘。「チャド政府はアフリカのNGOの声に耳を傾けるべきだ。アフリカ全域のNGO活動家が、チャド政府に対し、ダルフールの被害者側の立場に立ってスーダン大統領の身柄をICCに引き渡すように求めているのだから。」

ICC加盟国であるチャド政府は、指名手配中の容疑者の身柄引き渡しについてICCに協力する義務を負っている。南アフリカ、マラウイ、ボツワナ、中央アフリカ共和国、ザンビア、ケニアほかICC加盟アフリカ諸国は、バシール大統領が自国に入った場合逮捕する旨や訪問を受入れない旨を表明したり、もしくは自国領土内にバシール大統領が入らないよう会議会場を移動するなどの措置を取ってきた。

チャド政府は、バシール大統領の訪問を歓迎する理由として、同大統領逮捕に協力しないというアフリカ連合(以下AU)の決定を尊重しているからだ、と反論する。しかし国際法上、AUの決定は、同国のICC加盟国としての義務を無効にするものではない。

2009年に逮捕状が発行されて以降、バシール大統領の訪問を認めた国は、ジブチ、マラウイ、ケニアの3カ国だけであり、マラウイとケニアは、外交上および世論の激しい非難を浴びた後ではあるが、再訪を許していない。

チャド政府は、バシール大統領に3度の訪問を認めている唯一のICC加盟国である。今年2月、前回の訪問に先立ち、100近くの団体が、チャド大統領にバシール大統領の逮捕を求めた。ICCやEU、そして英国などが、チャド政府に対しバシール大統領逮捕に協力するよう呼びかけている。

前出のケップラ-上級顧問は、「チャド政府の国際条約上の義務は、AU決定で打ち消されるものではない。チャド政府はバシール大統領を逮捕すべきであり、迎え入れてはならない」と指摘する。